子供が見つける果実たち
他の地域に行ったらまた違うのだろうけど、今の子たちは遊べる場所が少なくて窮屈なんじゃないかな。そして夕方まで遊べる環境も少ないのだろう。
息子が通っていた小学校は集団下校になった。治安の悪いところなので仕方ないけど、15時くらいになるかならないかで学校から追い出されてしまうのだ。その後は学童や塾に行くらしい。
私が子供の頃は、授業が終わっても学校で遊べた。そして学校終わりのチャイムと音楽が16時になると流れる。(17時だったかもしれない)それから帰宅するのだ。そろばん塾の時だけは少々早く家に帰っていた。でも目一杯遊んでいたなぁ。
近所の公園で子供が遊んでいるのをあまり見たことがない。昔は公園でドッジボールや影踏みやだるまさんが転んだをやったもんだ。遊びたくても少子化で子供がいないっていうのもあるのだろう。
息子が子供の頃はまだ遊べていたようだった。息子は自転車が大好きで、隣の学区まで走らせて遊んでいた。他の小学校の子たちと公園やおもちゃ屋で合流してニンテンドーDSや遊戯王カードをしたり、駄菓子屋に行っていた。親世代の頃と違ってゲームが主流だったがまだ遊べていた。
息子が高校に上がる頃、駄菓子屋もおもちゃ屋もなくなっていた。
子供が親の目の離れたところで安心して遊べないなんて窮屈なのではないだろうか。子供を取り巻く環境が悪くなっているような気がしてならない。
今日の午後はやることがなかった。
家にいた息子を誘って、夕飯の買い出しついでに散歩をした。
途中、息子は桑の木をいくつか探した。街中だが、少し外れた崖に桑の木が生えていることがある。今が実りの時期。黒く熟れた実を口にすると甘い。しかし、どの木も実が取られている形跡がないことに気がついた。
「今の子食べないんだね」
「親が食べさせないんじゃない?」
「不衛生だから?」
実際、どうなんだろう。
私が子供の頃は喜んで食べたものだ。学校の帰り、そろばん塾の帰り、友達と口にしたものだ。私が子供の頃住んでいたのは田舎だったから、桑の実だけではない。崖に生えているキイチゴや自生しているヤマモモや枇杷。桑の実以外は正直なところあまり美味しくなかった。
それらの果実は小腹を満たすものではない。自分達で見つける楽しみだった。ちょっとした宝探し。
果実たちを自分で見つけることができないようなら、大人になった時に少しでもいい。
どこか、宝探しに出かけられるような旅をするといいと思うよ。
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