全ての消えてしまった少女に捧ぐ
大森靖子の「stolen worlD」を流す。窮屈なバスの中、ギュッと目をつぶる。車内の酸素が薄く、このまま倒れてしまいそうだ。
冬なのに背中から嫌な汗が垂れる。水中にいるような耳鳴りがする。ぶくぶく溺れていくようだ。もがく代わりに靴の中で一定のリズムを刻む私の親指。
これが私の全てだった。
何も出来なかった。何もしようとしなかった。
母から渡された冬期講習の茶封筒の厚みから目を背けたかった。
大人たちが、どうしようもない私という人間を正当化していることが申し訳なかった。
受験失敗したら、何となくきえてしまうのかとおもった。跡形もなく。
ドロドロに溶けて、蒸発して、私はふわふわと浮遊にして、誰かの酸素になる。
そんなことはなかった。
と、言うよりここ最近しぶとく生きている気がする。
おばあちゃんになる想像はつかないけれど、今が1番生命力があると思う。
私の中の少女はあのときに消えてしまったのだろうか。
それでも私は少しばかり残ったピンク色にしがみついている。
乱暴にちぎって断面がギザギザになっている。
怖くなったんです。死を軽視するような風潮が。
タイムラインで見失うような、それがまあいいかで済まされてしまう世界が
怖くて怖くて、私は私を責めました。
私の考える少女の喪失と、あの子が考えていた少女は全く一緒なんてないのに。
今更、あなたを私をあの子を救えるなんて思ってない。
それでも、
いつか、いつかでいいから私の中のピンク色も水色も全て抱きしめられるように、祈っています。
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