○○ちゃんへ
アイドルとおよめさんになりたいという夢を持った幼き○○ちゃんへ。
キラキラしたステージで、華やかな衣装を着て
歌って踊ってみんなに愛される、そんなアイドルを夢見た小さな小さな○○ちゃんへ。
そして欲張りだからおよめさんにもなりたい○○ちゃんへ。
笑ってるあなたは世界一可愛いよ。
ちょっと馬鹿で、運動は苦手。ダンスができるかは怪しいところ。でも健気で頑張り屋さんなあなたなら絶対アイドルになれるよ。
世界一可愛いから、最高のおよめさんにもなれる。
なりたかったね。
ごめんね。
大きくなった○○ちゃんは別の2つの名を名乗るように
夢見たステージではなく、田舎や都内のラブホテルを転々とするようになりました。
ある時はりおなちゃん。
またある時はこころちゃん。
どっちも可愛い名前でしょう?気に入ってくれるかな。
はじめて本名以外の名を名乗った時のこと、まだ覚えています。もうすぐ10年になるかな。早かったね。
時には泣いてお客様を困らせてしまうこともあったね。
それで良かったのよ。
あの時泣いて辞めてしまったら良かったの。
だってそう言う気持ちになるのが当たり前。
どこかで壊れてしまったね。
そうして今でもたまに思うんだよ。
アイドルになりたかったな。って。
可愛い衣装を着て、キラキラしたステージの上で歌って踊りたかったな。って。
およめさんには1度だけなれたんだよ。
でも今はもう違うの。難しいよね。
もう一度およめさんになりたいけど、今隣にいる人は○○ちゃん以外の女の子のことも大好きなの。
そんな人が幸せにしてくれるかな?どう思う?
答えはわかってるけど、信じたくないね。
だってその人のことが好きなんだもんね。
でも心のどこかで、仕方ないかって思うの。
大人になった○○ちゃんは、パートナーに隠れてりおなちゃんとこころちゃんになることを辞めなかった。
お金のためとはいえ、だめだよね。
自分がされて嫌なことは人にしちゃいけないよって
お母さんが教えてくれたのにね。
そんな子、アイドルにもおよめさんにもなれないよね。
○○ちゃん、ごめんね。
後悔してるの。自分が行った選択のほとんどに。
簡単に身体を売ったことに。自ら汚い世界に足を踏み入れたことに。およめさんで居続けられなかったことに。嘘で塗り固めた、秘密だらけの人生に。
泣いても遅いよね。○○ちゃん、ごめんね。
夢を潰して得たものが、全然無いの。
憧れた世界とは程遠い世界にいるの。
ごめんね、本当にごめんね。
昔はね、○○ちゃんのこと大嫌いだった。
だから腕を切ったり、薬をたくさん飲んだり、
なるべく○○ちゃんのことを考えないようにしてた。
いらない傷や後遺症を沢山残してしまってごめんね。
でもね、○○ちゃん。
今は○○ちゃんのことが大好き。笑ってて欲しいの。
もう汚くて怖くて悲しい思いはしないで欲しいの。
大好きよ、やっぱり世界一可愛い。嫌いになってごめんね。これからは大事にするからね。
次の人生はもっとシンプルで悲しいことが少ない人生にしよう。今回の教訓を活かしていこう。
大丈夫、○○ちゃんなら出来るし今回の残りの時間もなるべくいいものにしていこうね。
幼き私へ、27歳の私より。