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同化してるぜ

朝寝坊してしまったので、バンドTシャツにジーパンという、最高に気のぬけた格好で出かける。
フェスに行くみたい。行くのは会社だけど。

車を走らせていると、猫のフリをしたビニール袋の集団とすれ違う。
この前みたのは子どものみだったけど、今日は親も一緒だ。
子どもに比べて、親の方はだいぶ猫っぽいけど、風が強いと歩き方がふわふわしてしまうので、そこで本物ではないと見分けがつく。
本物の猫は、風で飛ばされないし、もう少し堂々としている。

遠くに白いネコがいると思ってにっこりした心になっていたら、ビニール袋でガッカリした事が何回かある。
ビニール袋も、ガッカリされることに疲れたのかもしれない。
だけど、全てのビニール袋が猫になってしまったら、買い物の時や、ちょっとゴミ袋が欲しい時に困る。

職場に着くと、もうみんな待合室の掃除をしていた。
同僚に挨拶をすると、「風邪でもひいたの?」と心配される。
あ、やっちゃった。
今日は朝急いでいたから、チューニングして来るのを忘れてしまった。
寝る時にネジを緩めてそのままだったので、多分いつもより声が低かったんだと思う。
ネジを締めたままだと、身体がピンと突っ張ったままでゆっくり休めないんだよね。
「大丈夫です、ありがとうございます」と返す声が、確かに仕事用の音程より低かった。

何かに強烈に憧れたこと、一回くらいあると思う。
憧れの誰かの髪型やメイクを真似してみたり、おすすめされた本や映画を観てみたり。
その人になれたらいいのにな、と思ったことないかな。
私は、ベースが上手になりたいと願うあまり、どうやら右の耳がペグになってしまったみたい。
前に回せば背筋がピンとして音が高くなるし、後ろに回せばその逆だ。
そのうち、背骨が四本の弦になってしまうかもしれない。
今日の朝見かけたビニール袋に、小さな耳や尻尾のようなものがみえたみたいに。
まったく同化してるよね。


NHKのタローマンを観ていたら、出鱈目をやるのも難しいと言っていたけど、ほんとだね。
今日は、書くことに困ったので、8割でたらめの嘘日記でした。












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