才能が人を孤独にする(ダイヤモンドの功罪 感想)
わたし、平凡な人間なので、昔から才能のある人に対する憧れがあったんです。
音楽でも、美術でも、運動でもいいんだけど、秀でたものがある人っていいなあ、って思ってたんですよね。
この漫画の主人公、綾瀬川次郎くんは、運動神経がめちゃくちゃに良いんです。
何をやっても、「できてしまう」。
運動オンチのわたしからしたら、羨ましいことこの上ないんですけど。
でも、彼は、才能があるがゆえに、辛い思いをするんです。
綾瀬川くんの願いは、「みんなで楽しくスポーツがしたい」それだけ。
でも、彼に才能があるせいで、仲間たちはみんな心が折れて、スポーツを辞めていく。
ある日、彼は地元の草野球チームに見学に行くんです。
そのチームは、強いわけじゃないんだけど、みんなで野球を楽しもうね、っていう雰囲気なんですよね。
そこの監督に、「野球は、ここにいるみんなが君の味方なんだよ」って言われるんです。
どこに行っても、才能がありすぎるせいで、仲間とうまくやれなかった綾瀬川くんにとって、「ここにいるみんなが味方だよ」っていうのは、すごく魅力的だったんですよ。
それで、彼は野球を始めることにするんですけど、ここでも才能を発揮してしまうんですよね。
思ったんですけど、普通にやってるのに、人並み以上に出来てしまう、っていうのが、またやっかいなんじゃないかなあ。
周りはさ、めちゃくちゃ努力してるわけじゃないですか。
それをさ、その日初めてやりました、って子が、軽々と超えていったら、面白くないですよね。
しかも、彼は、勝つことよりも楽しくやりたい、って気持ちが強いもんだから、悪気なく残酷なことをしたり言ったりしちゃうんですよ。
これ、本人もつらいけど、チームメイトも辛いよね。
むちゃくちゃ頑張っても、どうしても追いつけないくらいすごい奴が身近にいる、ってさ、自信無くして当たり前だよ。
わたし、運動はやんないけどさ、そうだなあ、同級生に、さくらももこさん並みに、面白い文章書ける子がいたとしましょうか。
で、ももこちゃんが、素直に思ったこと書いてるだけなんだけどなあ、とか言いながら、バンバン賞状とか貰ってたら、わたし、早々と書くこと辞めてた気がする。
嫌でも比べちゃいますよね。
自分の得意分野ならなおさら。
仲間と楽しくやりたいだけなのに、彼の才能がそれを許さない。
本気でやってもやらなくても、誰かを傷つけてしまう。
突出し過ぎた才能は、人を孤独にしてしまうのかもしれないなあ、なんて思いました。
四巻あたりまで出てるんですけど、今後が楽しみですね。
綾瀬川くんが、本気でぶつかれる仲間は現れるんだろうか。
では、今日はこの辺りで。