あなたの心の中にもきっといるはず
そう。マダムが。有閑マダムなのか勇敢マダムかは知らんけど。と言うのも、私の所属部署のメンバーは、夕方ごろになって、ちょっと疲れが出てくると、それぞれがそれぞれのマダムを解放し始める。ここぞとばかりに。ちなみに部長が一番頻度が高く、課長代理が一番頻度が低い。(なんの話) マダムと言っても、お召し替えをするわけではなく、口調が私たちの想像の中のマダムになるというわけで。一番ライトなものだと語尾が、「だわ」とか「ですわよね」となる。
くだらないと笑うなかれ。突然の沈黙を切り裂く一言が、マダム口調なだけで、良い意味で肩の力が抜け、緊張感がほどける。この口調で言うことが常に不満や愚痴ではないことを前置きしたうえで、ちょっとした不満や愚痴もマダム口調なだけで、余分な棘がなくなり、笑いすら誘うのである。
実は弊社は、ご近所づきあいが盛んである。社長に元々縁のある土地柄、ご近所のおばさま方、もとい、マダム達とも仲良しなのである。その中の某有閑マダム@元バリキャリはすごい。仮にOさんとしよう。多分我々の部署のマダム化が進んだのは、Oさんとの会話からだと言っても過言ではないくらいのマダム。それがOさん。(なんのこっちゃ)Oさんはいつもビビッドな色のお洋服をお召しになり、きちんとお化粧をしていらっしゃる。多分70代だと思う。社長がお手製のおでんをおすそ分けしたり、Oさんの庭の竹を剪定したりすると、必ず律儀にも御礼の品をお持ちになる。そのときにご対応させていただくのがほぼ私なのだが、Oさんと私、一切目が合わない。こちらからどれだけ合わせに行っても合わない。これもはや狙ってるんじゃないか、と思うくらい合わないのだ。
目が合わないだけではない。ある日などは、私の手を取り、「あなたネイル綺麗ね」とおっしゃったOさんの目は、あさっての方向を向いていた。逆にすごい。視野が広い。そして、社長は元気なの、と。私は、おかげさまで元気にやっております、と答える。ご近所ではあるのだが、「お気をつけて!」という私の言葉に「あなたもね!」と答えてくださるあたり、英語を使ってバリバリ働いていらしたところが垣間見える。やりとりがね。私は扉を閉めて、自席に戻るだけなのだけれど、なんか、Take care! You too!みたいなやりとりに感じて。伝わるかなこれ。
ともあれ、Oさんのマダム感を我々はTTP(徹底的にパクる)させていただいている。ちょっと言いづらいこととか、頼みごととかも、自分の中のマダムを発揮すると、少しの笑いとともに、スムーズに連携が進むからだ。
とは言え、いつもマダム感バリバリで会話をしているわけではないので安心してほしい。(誰にだ)
※画像はみんなのフォトギャラリーから、マダムっぽさあふれていたのでお借りしました。ありがとうございますっ!Oさんはこの画像よりもっとピンクな感じのお召し物ですけども、ね。あと大体伊勢丹の紙袋と共に在られる。