放課後の教室で…
夕日に照らされる教室。今この場は僕一人のものだ。ここで僕が何をしてもそれを知る人もいなければ咎める人もいない。ぐるりと無人の教室を見渡した後に僕はまっすぐあの子の席へ向かった。この椅子に普段あの子が座りこの机に突っ伏しているのだ。どうにかしてこの机と椅子になりかわることはできないだろうか。そんなことを考えていると机のわきにジャージの袋がかかっているのが目に入った。今日は体育で使ったはずだから大方忘れて帰ったのだろう。徐にジャージを引っ張り出すと少女らしい甘い香りが鼻腔をくすぐる。僕はそれを自分のカバンに突っ込んだ。さあ早く帰らなくては。
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