ちぐはぐな会話#11
チャレンコフ光
「なあ、チャレンコフ光って知ってる?」
「媒質中で光速を超えるとき出てくる光だろ。」
「光速は一定とか、光の速度は超えられないとかいうけど、つまるところはどの条件か、で変わるってことだね。」
「空間自体が拡がる速度は光速を超えられるってよ。現に、今の宇宙は光速の3.5倍の速さで拡がってるらしいよ。」
波なのか粒子なのか
「なあ、光って2重スリットの実験で波動として観測すると干渉縞が発生して、波と同じ性質になるし、粒子として観測すると光子1個1個の性質になるし、いったい、どっちなんだ?」
「ミクロな世界では、そういう現象を2重性っていうらしいよ。」
「観測するとどちらかに決まるものなら、観測しなかったらどちらでもあり、どちらでもない、ということになるね。」
「まあ、般若心経のようなものかもね。」
アインシュタイン・リング
「なあ、アインシュタイン・リングって知ってる?」
「重力で時空に歪みが生じて、光が屈折して見える現象だっけ。」
「観測者からすると光は曲がって進んでいるようにみえるが、光からすると時空が曲がっていようがいまいが、とにかく真っすぐ進んでいるつもりになっているんだよね。人間でも、なんか曲がった人生を送っているようにみえても、社会のほうがゆがんでいるから本人は案外、真っすぐ生きているつもりなのかも。」
光より速いと過去へいける
「なあ、光より速いとなんで過去へいけるのかな。」
「地球から100光年離れている星があったとする。宇宙同時刻的に2000年としておこう。その2000年にその星にいた人が、ほぼ瞬間的に地球に来れたとする。つまり、光速より速く移動できたとする。どうなるか。地球でその星を観測しているとその星の2000年の姿をみるためには、宇宙同時刻2100年にならないとみれない。なぜなら、光の速さで100年かかってやっと地球に到達するから。でも、2000年に地球に光速以上で移動してきた人は、宇宙同時刻2000年に約100年前、つまり、1900年の自分の星の姿とみることができる。ということは、100年前に戻って自分の星を観測した、ということになる。」
光速30万キロ
「なあ、光速って毎秒30万キロメートルだってね。」
「太陽からの光も約8分前の光だよ。」
「そんなに速いとちょっと時間がくるっただけでかなりズレるね。」
「人工衛星とやり取りしているGPS(衛星による位置測定)も一般相対論補正と特殊相対論補正の両方を計算して、やっと使えるものになっているよ。補正は10のマイナス9乗秒(ナノ秒)オーダーらしいよ。」
「いやあ、相対論さまさまだね。相対論がなかったらミサイルがデタラメなところに飛んで行ってしまっていたね。」
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