読書のススメ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」

こんばんは。オズです。このnoteでは、わたしの「好きなもの」について、勝手に書いて、勝手におススメしていきます。

今回はオードリー若林さんの旅エッセイ、『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(以下、表参道のセレブ犬~)をご紹介します。

「生き様芸人」と称される若林

2019年、「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」で、お笑い芸人世代論が熱く語られる時期がありました。その中でも、放送作家のオークラさんがゲストの回で「ミレミアム世代こそ生き様芸人」という話が上がり、代表的な生き様芸人として名があがったのがオードリー若林でした(引用元はこの記事

佐久間:だから若林くんなんてだって結構、書籍を……一瞬エッセイのように思わせておいて、ちゃんと読むと人間格闘記になっているっていう。だから、興味のないやつらは読まない。でも読むと若林の考えの格闘が全部わかるっていう。そういう戦い方をするじゃない?

佐久間さんがおっしゃっているように、まさに彼の「人間格闘記」のうちの一つの本が、『表参道のセレブ犬~』になると思います。

それまでにも彼は『社会人大学人見知り学部卒業見込』などの本も出されていて、文章には一定の評判があり、私も彼の書く文章はとても好きで、コラムなどもよく読んでいました。

そんな中、『表参道のセレブ犬~』は、若林の初の旅エッセイとなり、それまでとはまた違った楽しみ方ができます。さらに、この本は旅行記としてだけでなく、別の側面も持ち合わせているのです。それは、ある章で彼がキューバに一人旅に出た本当の理由が明かされた辺りから、顕著になります。すでに、ご存じの方も多いかもしれませんし、今更とは思いますが、なるべく革新に触れないように少しご紹介します。

キューバに一人旅に出た、本当の理由

本の冒頭で、若林はかねてからの念願であったというキューバ旅行に行く理由を、詳しくは述べていません。旅行代理店のお姉さんに聞かれた時も、「アメリカと国交が回復して、今のようなキューバが見られるのも数年だと聞いたからです」と当たり障りのない理由を答えます。

その後も、キューバに行く理由については特に触れられず、エッセイの間もほとんど、キューバ旅行に来た理由について、特に詳細に語られることはありません。

しかし、最後の最後、彼がキューバに一人旅に出た、本当の理由が明かされた途端、この旅行記は全く違う意味を持ち始めます。

この本が出た2017年の1年前、2016年春に、実は若林は仕事の合間に父親の葬儀に立ち合います。そして、その時母親から得たきっかけを元に、一人旅を決断することになるのですが…この辺りの詳細な吐露が、彼の文才が特に際立っていると感じる所なので、ぜひ本で読んでいただきたいのです。

「生き様芸人」の真骨頂

『表参道のセレブ犬~』は、若林の文才を改めて感じるほか、とてもこのnoteの中では伝えきれないような空気感が漂う、非常に魅力的な作品になっています。また、個人的にはこの本を読んだとき、久しぶりに読書という体験を通じて、心、ならぬ心臓ごと揺さぶられたような体験をしました。本屋でこの本を手に取り、自分のペースで読み進め、そしてこの本の結末に辿り着いた時、私はまさにその体験をできたことが、とても嬉しかったのです。

興味を持たれた方はぜひ一度、この本を通じて彼の「生き様」を体験してみてください。(※最後の2章は、自宅で読まれることをおすすめします。私は最後なんのきなしに電車で読んで、途中から涙があふれて止まらなくなってしまい、必死で冷静を装いました。。)

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ちなみに、オールナイトニッポンも、また違ったオードリーの魅力が感じられるので、おすすめです。(こちらも電車で聞くと笑ってしまうので注意です)

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