SNSの中の人はもう疲れた
会社のSNSアカウント(主にTwitter)を運営しているのですが、もう疲れてきたアカウントがこちら。
SNS運用は人生初、他のアカウントの見よう見まねしながら、いつの間にかフォロワー数を100倍近くに伸ばすことに成功した。
しかし、SNS運用はあくまでマーケティング活動やユーザーとの距離を縮めるひとつの手法でしかない。
周囲も忙しくSNS運用にリソースを避けていなかったこと、私もプロモーション業務や分析業務と兼ねて運用していたのもあり、成果を出すまでに色んな困難があった。
そのまとめがこちらだ。
「それってやる意味あるの?」と言われる
ユーザーとの距離を縮める、ユーザーをより知るために、SNSの運用にチャレンジしてみよう!と発言したときの周囲の反応がこれだった。
いや、しんどい。
「仕事を増やされる」「面倒だ」と無意識に感じており、拒否反応を示したのだろう。
有名な企業アカウントの例を紹介したり、画像やテキストを検討する工数削減の提案をしたり、毎週あの手この手で進めた。
投稿の提案をしても、投稿ひとつひとつに、
「日本語がおかしい」
「これではユーザーに出せない」
と言われ、何度も何度も直された。
挙句には
「あなたは日本語がよく間違っている」
と言われた。
本当だとしても、当時はさすがにこたえた。
当時の自分は「日本語おかしかったか〜あれれ〜」と落ち込むくらいだったが、後ほど別の同僚から「あれは異常だよ」と教えられた。
会社で同様の事態が起こったときは、まるで気にしない方がいい。
楽しそうに運用したり、中長期で成果につながっている姿を見るのが、攻撃してくる同僚に対しては1番の薬だ。
結局、私の場合は同僚に賛同されなかったものの、投稿は自由にさせてもらえた。
数年自由に運営させてもらったが、それでも困難は待ち受けていた。
意味のないルールがある
企業にとって炎上は大敵だ。
一部の炎上とあってもすぐに企業のブランド毀損、レピュテーションリスクに直結する。
とは言え、ルールにルールを重ねても意味のない縛りが生まれてしまう。
具体的なルールを例示すると企業バレしそうなので割愛する。
実際に起こったのは、良かれと思った情報提供で広報から「その投稿はやめてください」と止められる、謎のSNSテストを毎年受けさせられる、などだ。
これこそ意味があるのか?しんどい。
私の中で、SNSアカウントの強度は以下だ。
最強クラス:1人の人間として好意をもたれる
師範クラス:ユーザーのお困りごとを解決する、会社にもフィードバックできる
先生クラス:トレンドやニーズをとらえながら必要な情報を提供する
生徒クラス:なんとなく週1で運用する
ここを登るに必要なのは、SNSテストというか、マーケティングというか、そういうわけでもない。
SNSアカウント運用の勉強会や、最強、師範クラスのアカウントの人を捕まえて話を聞く方が断然早い。
もっと言うと、コピーライティングやユーザリサーチ、企画、広報の技能を身に付けるのが早道かもしれない。
そのクラスの人であれば、技能もあるはずだし、炎上の経験や心無いリプライで傷ついた経験もある。
そのゾッとするような体験を聞く方が、マニュアルを読むよりもずっと学びになる。
投稿するコンテンツがない
実はコンテンツにはあまり困らなかった。
よくお悩みとして聞くのだが、実際のところは工夫次第で乗り越えられた。
ゼロからクリエイティブを作るのはしんどい。
周囲も「なぜちまちまバナーを作ってるんだろう…」となる。
そのため、徹底的に「既存コンテンツを有効活用する」方向に踏み切った。
例えば、アプリイベントをそのまま転用する(予告、告知、結果発表など)、いちユーザーとしての感想や意見を述べる、など。
反対する周囲に対しても、「このコンテンツ素敵なので、もっと広げましょうよ!」と言うと悪い気はしないらしい。
SNSの種類によらず、画像があるとエンゲージメントも伸びるし、一瞬で情報をつかんでもらいやすい。
認知効果も考えられる。
ちょっとでいいので、手間をかけると良い。
思想を受け継ぐ人がいない
SNS、特にTwitter運用を始めた結果、フォロワー数が100倍近く伸び、初めて万単位に達することができた。
(今も継続的に運用することで伸ばし続けている)
結果について上司にも褒めてもらった。
何より、私も嬉しかった。
SNS運用を初めて体感し、結果が出せ、コアユーザーからポジティブなコメントもいただけるようになった。
しかし、本当に辛いのはそれからだった。
「そもそもSNS運用がなぜ必要か」について、理解しようとしている人は自分以外にいなかったのだ。
自分以外に運用をお願いしてみると、皆がチャットボットのようなつまらない投稿しかしない。
過去の投稿を真似したつまらない投稿がズラッと並び、ミーティングで話を聞くと「なぜやっているのかわからない」と言われる。
仕事は思想が大切だ。
主観でも構わないので意味づけが重要だ。
それができない人は、SNS運用に向いていない。
・手っ取り早く成果をあげたい
・面倒臭いことは極力したくない
・人の気持ちを考えるのが面倒くさい
・コンテンツ、クリエイティブは安く早く適当に作ればいいと思う
・自分のSNSアカウントを持っていない
…という人は向いていない。残念ながら。
最初の問いに戻るが、「SNSなんてやる意味があるの?」と聞く人にはこう答えたい。
自分でつくれ、と。
つくった意味が、動機になるからと。
以上が、SNSアカウント運用する上での困難だ。
動機は一度も失ったことはないのだが、別のアカウントの仲間が次々離職したりと、心がすり減ったり、仲間が減ってしまった。
これからどうしようかは、考え中だ。