勇気出してTwitterスペースやってみたら分かってきた聴覚ビジネスの可能性

こんばんは、病めるマーケターoz、またの名を西洋出版氏たんです。
あるときはごりごりに気分の落差が激しい面倒くさいマーケター、あるときはのんびり写本の挿絵を眺める学問たんをやっています。

そんな私が生まれて初めて「Twitterスペース」にチャレンジしました。
どんな齢になっても初めてぼろぼろけになって、相場も着地点も分からずに挑んでみるものがあるというのは良いことです。
そこで気付いた、聴覚ビジネスの可能性と、配信時注意した方が良いことを備忘録がてらまとめます。

もう人の可処分時間に対して視覚メディアの量は度を越している

とある有名YouTuberが、従来と視聴者の視聴態度が大きく異なってきたことを指摘していた。
それは「ながら見」「ながら聴き」だ。
仕事をしながら見る。作業しながら聴く。

作業用動画というのはニコニコ動画の時代から確かに存在していた。
しかし動画のタイトルなど、作業用とそうでないもの、つまり集中して見聞きするものとそうでないものが明確に区分されていた。

しかし今は誰もが録画・録音・配信・編集して、SNSや様々なプラットフォームで投稿できる。
有名人芸能人と遜色がつかないくらい喋りが面白い人、参加者に声をかけたりもてなすのが上手な人も多い。
動画が奪う対象である可処分時間が、もうすでに量的に食い尽くされてしまっているのだ。

かつて中世社会だと写本内に挿絵を入れたり、活版印刷以降は木版画などが入ったりと、視覚文化の象徴でもある本をいかに豪華に、わかりやすくするかという工夫が凝らされた。
これは代表例に過ぎないが、書物からテレビ、動画の時代が「視覚に重きをおいた文化」なのだとしたら、今は「感覚を分散させる文化」に差し掛かっているのだろう。
(ただ、これは人間の感覚器が発達したからというより、マルチデバイスやホワイトカラー業務の発達などで感覚器を分散させる環境や機能が人間を変えてしまったと個人的には思う)

さらに言うと、記憶文化、記録文化を経て体験文化に変容しているとも言えるかもしれない。
古代では学問の暗記を始め、すべてを記憶することそれ自体が知であったが、だんだんと羊皮紙や図書館などの記録媒体や発達し社会の記録能力が向上し、今ではオンラインで無限に管理保存ができる。
しかし、今のようなclubhouseやTwitterスペースで交わされた言葉のひとつひとつが、100年後、1000年後にリストアできるかと言われると、困難を極めるだろう。

話を戻して、もう少し卑近な例だと、最近オンラインイベントに参加するときは正直「ながら聴き」が普通になってしまっている。
集中して聴くよりはもちろん情報量自体は落ちるが、耳だけセンサーのように働かせていれば、重要な箇所や面白そうな箇所にさ差し掛かったときに脳みそを素早く引っ張ってこれる。
また、映画館に行くと落ち着くのは、強制的に視覚と聴覚にだけ集中し、他に何もながら作業ができないからかもしれない。

ただ、これは全ての可処分時間を奪い合うビジネスにとっては朗報ともいえるし、悩みのタネとも言える。
あなたのサービスは「ながら使い」に対応しているか?
それとも「ながら使い」を許さないくらい圧倒的にな何かがあるか?

聴覚サービスは挑戦しがいがあるのか?

真面目な話はこれくらいにして、いよいよ本題だ。
そしてこの問いの答えは「Yes, but…」だ。

実はTwitterスペースだけではなく、radiotalkやVtuber風サービスにもチャレンジした。
その結果、向き不向きはありつつも挑戦ハードル自体は低いというのが印象だった。

普段自分の興味を持っていることや、得意領域など、何かひとつでも「えんえんと話せることがある!」「話すのが苦でない」人にはうってつけだ。
逆に、多少まごついても話し続けられず、なんとなく気まずさを感じてしまう人にとっては少し厳しいかもしれない。

Twitterスペースで感じたのは、必ずしも双方向コミュニケーションが成立するとも限らない、成立させなくても良い点だ。
ながら聴きが増えている分、いわゆる聞き専の方も多く、スピーカーが期待していたようなコメントや質問が多くもらえるとは限らない。
そんなときでもいくつかトピックを話せたり、紹介したくなるような事柄があると心強い。

すでに集合知と化しているかもしれないが、音声メディア単体ではなくSNS、文字サービスなどと組み合わせる総合格闘技型が王道と言える。
特殊な例としては、声自体に魅力がある場合は音声メディア一本でやっていく人も一部いるのかもしれない。

話すときに注意したほうが良いポイントは?

最後に、Twitterスペースなどで注意した方が良いことを備忘録がてらまとめる。

・フリーBGMをかけると聴きやすい
ずっと話づつけるのに慣れていない人にとって、BGMは雰囲気づくりをしてくれる強い味方だ。
著作権的に問題ないものを選んで、ループ再生しておくだけで、スピーカーの心の安心にも、場をゆったりとつなぐ効能が期待できる。

・はじめて入る方には丁寧に自己紹介を
スモールコミュニティの強みは相互承認だ。
はじめて入る人にも自己紹介をしたり、どんな人となりなのか、どんなことを話すのかを簡単にシェアしてあげると、リスナーは安心して部屋に留まることができる。
さらに言うと、決まり文句などがあると覚えてもらいやすく、コメントや反応を促すような声かけもいいかもしれない。

・慣れるまでは話すネタを少しだけ用意する
あまりガチガチに台本を用意すると疲れてしまうが、話すネタを少し用意するだけで、安心感がぐっと上がる。
ネタについて話しながら、その場で検索したりよりより丁寧めに当時のことを思い出しながら話すだけでも場が保つ。

・コメントや反応をくれた方は名指しで感謝する
人気の配信者さんが皆そろって必ずやっていたのがこれだった。
たしかに名指しで呼んでもらえると、ラジオでハガキやメールが読まれてもらったように嬉しい。

以上です。
私のTwitterスペースにご参加いただいた方は、改めてありがとうございました。
少しでもお役立ちできればと思いますが、皆さんから元気をもらってばかりいる感は否めません。
あと、感覚全般については最近興味が高まっているので、今度は嗅覚についても書いてみるかもしれません。
それじゃ。

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