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はじめてのnote|シゴヤメさんの自己紹介


 はじめまして。
現在お勤めをやめている40代シゴヤメ中のヤメ田と申します。今は息を潜めてそおーっと生きています。この期間を利用してブログやnoteを始めてみたので、今後も続けていけたらなと思っています。ブログと違って文字を思いのままにベタベタ入力できるnoteはやっぱり心地よくていいなと思いました。

 最近読書をまた始めることができたので、noteに自分が読んだ本について書いていきます。amazonにあるものについてはリンクを載せておりますのですみませんがご了承くださいませ。↓のブログには愛用品などのお話も少しずつ書いて載せていきたいと思っています。


自己紹介

古い賃貸マンションに夫とお二人さま暮らし

好きなこと:ラジオ、演芸、映画、読書、文房具、水泳
苦手なこと:テキパキ動くこと


柑橘はこんなにも。|note一つ目の投稿


 夕方、猛烈にお腹が空いて、いつもだったら甘いものやしょっぱいスナックが欲しくなり、とにかく急ぎで脳に美味しさを早く届けたいという気持ちが強くなる。

 冷蔵庫を開けるとこの間友人から頂いた大きな甘夏が入っている。

「剥くのに時間がかかるよなあ」と瞬時に思い、夕食の準備前の今、ではなくまた別の日に食べようかと思った。けれども、

「今日はゆっくり剥いて大丈夫」「アンタ今日なんにも無いんだから、明日もね。」
「ゆっくり剥いて今食べればいい。」
「いいじゃないか、別に急がなくても。」
「アンタ、剥く時間あるでしょ。」
「今日は梅雨のこの湿気、柑橘が欲しくなるよね。剥いて食べればいいじゃないか」
「その後でアンタの好きなしょっぱいもの食べなよ。なんで今剥けないの?」

早く甘いかしょっぱいのスナック系の刺激をと急かす自分、それとは別にちょっと外から俯瞰で見る自分もいる。今お前が甘夏を剥けない理由なんてどこにあるのだ、と。

 仕事をしている時は帰宅後疲れ果てているのに果物を剥くなんて本当に面倒で、またゆっくりできる休日でいいよ、という感覚だった気がする。休日でさえ、楽しみにして食べるというよりは、
「クダモノモ チャント タベナイトネ」
「カラダニ イイシネ クダモノハ」
だったかもしれない。

 もちろん果物が美味しいとは感じていたけれど、自分が楽しみにしていたのは、やっぱり一秒一瞬で満たされる甘いお菓子かしょっぱいスナックだった。仕事の後などはとにかく塩分、糖分、たまにお酒でまず脳みそを満足させないと、そこから身体が動かない時があった。


今日は大丈夫、時間はいっぱいある、とゆっくり言い聞かせて綺麗に綺麗に薄皮を剥く。剥いてみるとどれほども時間はかからず、実にあっさり、きれいに剥けたなと思う。

 ぎゅーっと口いっぱいに広がる果汁は塩分よりも糖分よりも刺激が強い酸味と甘み。まだ口にたくさん入っているのにどんどん次の房を放り込んだ。
雨の日で朝からずっと湿度が肌に触ってくる。その中で何回も何回もぎゅーっと果汁の刺激を楽しむ。ジュースのような果汁をどんどん飲み込む。大玉1個分を山盛りにしたガラスの器はあっという間に空っぽになった。このガラスの器だってあまり使っていなかった。分厚くて綺麗なガラス。

「フルーツ?好き好き、柑橘系すごい好き、美味しいよね。さっぱりして。」
「桃とか梨、リンゴ、バナナも好き」
と言っていたけどあれは本当にそう思っていたのだろうか。本当に美味しいと思って食べていたのだろうか。本当に美味しかった?わざわざ果物を買うためにスーパーに行ったことがある?

今日みたいに、果汁の美味しさと刺激にびっくりしながら、一人なのに誰かと競争するように急いで口に放り込んで、それか無くなるのが勿体なくて亀みたいにゆっくり食べたことはあっただろうか。
好きというのはそれぐらいのことだと思う。

 「カンキツッテ オイシイヨネ。」「ワタシ クダモノ スキナンデス。」と言いたかっただけかもしれない。罪深い中年になったものだと思う。

 今なら寝る前に冷蔵庫の甘夏を確かめて喜ぶし、全部食べて無くなったらきっととても悲しく思う。色々と取り返さなければいけないものがたくさんある。



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