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働き始めてから10年経った今振り返る 尾瀬の変化 -入山者数と山小屋-
尾瀬で初めて働いてから約10年が経ちました。
月日が経つのは本当に早いですね。
最近、【尾瀬と鬼怒沼/著者:武田久吉】を読んでいるのですが
明治38年頃の片品村の様子や尾瀬の様子が書いてある。
そこから比べたらわずかな変化なのだけれど
この10年思い起こしてみると
様々な変化がありました。
もちろん、尾瀬高生時代から比べてみても変化はあるのですが
あんまり興味がなかったからか
木道が湿原に沈んで水浸しだったことと、
当時講師を勤めて下さっていた
尾瀬のレジェンドとも言える片品村のMさんが
「こんなこと、50年尾瀬にいて初めてだよ!」と言った
カエルが群がって死んでいる様子しか記憶にない・・・。
ということで(?)
わたしが働きはじめてから10年の尾瀬の変化について
少しずつまとめていってみようと思います。
入山者数の減少
尾瀬で初めて働いたのは今からおよそ10年前。
初めての山の中での共同生活と仕事にとても緊張していたわたしは
上山してすぐの頃はあまり眠れなかったのを覚えています。
その記憶と共に思い出すのは
6月のミズバショウシーズンの人の多さ。
尾瀬はそのシーズンが始まってすぐに
この繁忙期を迎えるのですが
何もかも初めてなわたしにとって
このときの光景はかなり衝撃的でした。
公衆トイレ前のトイレ待ちの人々が作る大行列。
木道ですれ違う人の多さ。
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この年344,200人の方々が尾瀬に入山されました。
そのうち約半分以上の208,000人の方々が
鳩待峠から尾瀬ヶ原へ入山。
当時はビジターセンター・山小屋さんに来る方々もとても多く
賑わっていました。
現在(2023年)の尾瀬全体の入山者は163,499人。
そのうち鳩待峠から尾瀬ヶ原へ入山される方は89,594人。
※入山者数の数値は環境省利用者数調査より
そう、尾瀬の総入山者数が
10年前の尾瀬ヶ原への入山者よりも少なくなったのです。
あの頃と比べるとたしかに静かになりました。
ミズバショウシーズンの公衆トイレ前の行列も、
木道ですれ違う人たちも、今は少ない。
自然にとっては良いことかもしれない。
けれど尾瀬で商売をする人たちにとっては大変な問題です。
山小屋が営業を辞める
ここ10年で営業を辞めたり、
休業をするようになった山小屋さんが何軒かあります。
建物すら無くなってしまった山小屋、他の経営者に譲った山小屋。
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10年前、確かにあの小屋にあの人がいて、
巡回でご挨拶すると
「お茶していきな!」
とコーヒーやお菓子、尾瀬のいろんなお話で迎え入れてくれた。
気がつくと30分、なんて当たり前だった。
まさか、あの小屋が無くなってしまうなんて。
「今年であそこの山小屋、やめるってさ」
と聞くことも、最初は驚いていたけれど
ぽつりぽつりと聞くようになった今は
慣れてしまった気がします。
更に追い討ちをかけたのは
新型コロナウイルスの流行。
あの年、わたしはビジターセンターで働いました。
この年こそ、本当に静かだった。
ミズバショウシーズンに訪れる人がいなかったあの年。
山小屋さんは
本来であれば一番の書き入れ時であるこのシーズンに
休業しているところがほとんどでした。
入山者が減ったことと新型コロナウイルスの流行。
もちろん、山小屋のご主人たちが高齢化したこともあるのだけど、
街の商売も大変ないま、山の商売はもっと大変なのかもしれません。
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小屋の前の看板には「営業開始予定は7月1日(水)です。」と書かれている。
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山小屋の代替わり
山小屋さんが営業を辞めてしまっている、なんて言ってしまうと
なんだ、尾瀬の山小屋は無くなっていく一方か・・・
と思われてしまいそうだけど、
後を継いでいる方々ももちろんいらっしゃいます。
10年前に山小屋のご主人の少し後ろにいたあの人が
今は小屋を切り盛りしている。
本当に素晴らしいことだなぁとしみじみ思ったりするのです。
この大変な時代に
どうやって営業していったら良いか
試行錯誤の日々だと思います。
”山では街の生活に比べて2倍の経費がかかる”
そう聞いたことがあります。
不自由なく滞在できる山小屋。
だから時々なんでも揃っていると勘違いしそうになる。
でもそれってものすごくありがたいこと。
この変化する状況の中で
その場所で今も山小屋をやってくれていることに
わたしたち利用する側は
尊敬と感謝を忘れてはいけませんね。
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※「尾瀬日和」としても情報発信をしていきますので、
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