PEP UP CIRCLEと、民藝と、柚木さん
今日のこと。
新潟の本屋さん北書店で出会った「柚木沙弥郎 Tomorrow」を読んでいたら、先日お手伝いしたPEP UP CIRCLEのワークショップで足を止めてくれた奥様が言っていたことを思い出した。
「今の人たちは何の抵抗もなくモノを捨てるようになってしまった。けど、それは私たちがちゃんと子供達にモノを大切にするように教えてこなかったからなの」
なるほど確かに、と思った。
多分その方の年齢的に、幼少期はモノの少ない時代だったのだと思う。
子育てをされていたのが大量生産大量消費への過渡期だとしたら、「モノの豊かさが暮らしの豊かさ」という価値観に移り変わる時代の只中で、大量生産大量消費の行く先に待ち受けている問題なんてほとんどの人は考えることもなかったのかもしれない。
モノを大切にする時代に育った人たちにとっては当たり前のことすぎて、親に教えられたのではなく姿を見て育ったレベルのことで、だとしたら敢えて「自分が子供に教えるもの」だとはそもそも思わないかもしれない。
奥様に「あなたはどうやってこういうこと(価値観)を学んだの?」と聞かれた時に真っ先に出てきたのはやはり両親の姿だった。
口うるさく言われた記憶はないけど、大切にすることが習慣になっているから、あまりにも大切にされないモノやすぐに捨てられてしまうものを見ると私の中では「ん〜…」というモヤモヤ・違和感になる。
子の私は、親の姿を見て育ったんだなと実感する。
そんな私は大学の授業で「民藝」というものに大変興味を持った。
(その時、とても熱く「民藝」の話をしてくれた木村先生という方は、きっと界隈で知らない人はいない新幹線100系からN700系、サンライズ出雲・瀬戸の車両デザインをしているすごい先生なのだが、今さっき調べたら先生は柳宗理さんに「俺が面倒を見てやる」と言われて柳宗理デザイン研究所に通っていたと知ってちょっと震えた。在学中にもっと色々お話を聞いておけばよかった…)
そして、母から民藝というワードこそ聞かなかったものの、昔から使っている鍋やヤカンは柳宗理デザインのものだし、染色工芸家の芹沢銈介さんが好きだし、そんな親を見ていたから私が民藝に興味を持ったのも自然な流れなのかもしれない。
そして今読んでいるのは、芹沢銈介さんのお弟子さんでもある柚木さんについて書かれた、「柚木沙弥郎 Tomorrow」。
この本にある
という部分が、個人的にはとても腹落ちした。
これは、必ずしも高価なモノや最高級のモノを選ぶことが良い、とかそういうことではなく、「自分の価値基準に基づいて私はこれを選んだ」という過程や、自信があるかという話。私の両親は確実にこれが明確なのだと思うし、私もこの考え方が心地よい。
こうやって自分の価値観と合う本を読むことで、自分にとって心地の良い選択はなにかを再確認して、なんかモヤモヤとした日々を軌道修正できる。心の底からすごくワクワクするし、私は私の暮らしを最高なものにしたい!楽しみたい!と思わずにはいられない。単純だけど。
便利便利な時代から、巡り巡ってまたモノを大切にする意味を考える時代がやってきていると思うから、身近に同じ価値観を持って活動できるPEP UP CIRCLEの仲間たちがいるってとても嬉しいことだな、ということも改めて思った。
奥様には「(PEP UP CIRCLEの活動が)若いのに素晴らしいね」みたいなことを言っていただいたけど、やはり世代ではなく同じ価値観の人が集まって取り組めることが何よりだと思うので、ぜひまた十'(テン)にいらしてください、と伝えた。
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ここまでひと通り書き終えてカフェを出た私が向かったのは、滞在中の横浜で気になっていた「巧藝舎」さん。
完全に個人のお宅…?という雰囲気の中、ところせましと並ぶ世界の民藝品。民藝品を扱うお店は各地で訪れているけど、このお店は国外のものがたくさんあるので見たことのないものばかり。
お店の方と民藝の話をしている中で柳さんの名前を出したら、お店の方の口から柚木さんのお名前が。
どうやらお2人が亡くなるまで親交があったようで、思わず「今これを読んでいます…!!」と柚木沙弥郎 Tomorrowをカバンから出した。びっくりびっくり。
(私の中では早くも聖地のような気持ち)
ちなみに、今日はインドの布を2枚購入。
インドの誰かの手仕事を私の暮らしにお迎えできてとても嬉しい。この布をいかに素敵に使うか、頭をひねるのが楽しみ。
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