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夜に漂う嘘

本当って何 嘘って何
陽が眩しくて 見えなかったけれど
夜の静かな世界では
織り込まれたそれが
手に取るようにはっきりわかる

子どもの嘘は本当になって
大人の本当は嘘になる
その人のスガタカタチが全く変わる
あの時話した人はどうだろう

あの時助けた人はどうだろう
まっすぐ思っただけの考えでは
すぐに嘘に翻弄される

だから 夜を待とう
夜になるとあなたの嘘は
脆くたやすく剥がれ落ち
朝は輝いていたあなたの姿は
夜には黒くよどんでいる
「それが本当のあなたなのね」
するとあなたは夜の闇に消えていった

何もなくなったその場所は
すっぽりと穴が開いていて
漂う嘘もどこかで消えていた
すっかり晴れたようで
どこか不安で後ろを振り向きたくなる
そんな気持ちを持ってしまっている

きっと本気で嘘を信じてしまって
きっと本気で嘘を愛してしまっていたからだ
夜になって見えたあなたの真実は
私にとっては真実ではなかったのかもしれない

だから 夜にさよならを言おう
嘘でも愛したその人と
また共に過ごせるように
剥がれ落ちたその嘘を
拾い上げて包み込むように
朝とともにやってくる
あなたの姿を包み込もう

夜には多くの嘘が漂う
一つ一つが濃密で
普段は気付けないほど黒いもの
それでもそれを愛したのならば
その嘘は真実に変わるかもしれない

真実に変わった嘘は漂うことなく
誰かの胸に溶け込んでいく
それがまた誰かのスガタカタチを
変えることになるかもしれないが





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