私がお菓子作りする理由 ~境界性パーソナリティー障害とともに生きていく 手作りおやつ工房とさか~
お菓子作りしていると、死にたい気持ちから解放される。
私が元気でいられるように。
ひきこもったまま社会とつながろうと始めた手作りおやつ工房とさか。
みんなの笑顔が続いていくように
開業からまもなく4年。
「そもそも私はなぜお菓子作りが好きなのだろう」と原点を見つめ直しました。
小さい頃、母の隣で作っていたお菓子。
祖父母に会いに行く日、「焼き立てをプレゼントしよう」と焼いたマドレーヌ。
「大切な人が笑顔になってくれると嬉しい」
「誰かの役に立ちたい」
それは、お菓子作りでなくても他の方法もあると気づき、昨年訪問介護を始めました。
食べ物が溢れかえっている日本。
一方で介護業界は、介護従事者の高齢化、人手不足は深刻です。
「おいしい」と笑顔で言って下さっているリピーターさんが、将来例えば、
親御さんの介護が必要になった時、ヘルパーさんに入ってもらおうと思っても人手不足でサービスを受けられず、家族の介護負担が大きくて今のお仕事を辞めざるを得なくなるかもしれないし、
お子さんを保育園に預けようとしても、保育士さんが家族のダブルケアの必要で退職が相次ぎ、保育園が決まらず職場復帰が難しくなったり…。
私の考え過ぎ?
それに、在宅介護のニーズは高まっている(私自身やっぱり自宅で暮らしたい)。
美味しい食べ物、便利な物は世の中に溢れているけれど、
安心して暮らしていける地域はどうだろう?
SDGsという言葉を聞かない日はない。
「環境にいい」「こんな素材を使っているから」とまた物が溢れ、時代遅れの物が捨てられていく社会の中で、時々私は心と体がバラバラになっていきそうになる。
私は自分の心の声にきちんと耳を傾けていきたい。
物が溢れる社会で、物づくりをする…。
私は、これからもお菓子作りをしたいのか?
私がお菓子作りする理由
工房ではこれまで、デザインやweb制作などを、「ひきこもっていても仕事ができる、つながれる」ひきこもり当事者のプラットフォームCOMOLYの登録者さんに協力して頂いてます。
COMOLYさんに制作依頼した、工房のwebサイトはこちら↓↓
https://oyatsukobo-tosaka.studio.site/
「他人に頼らず、何でも自分の力でやれ。人様に迷惑をかけるな」という誤った「自立」の教えの下に育った私ですが、
自分は得意なこと(お菓子作り)をして、苦手なこと(デザイン)は誰かにお願いして、お互いのできることを掛け合わせると、とっても素敵なものができる。
自分にできないことがあるのは幸せなこと。「お願いします」と誰かを頼ることができるから。その人の出番ができて、「ありがとう」って言い合うことでつながりを感じていける。
工房で気づいたこと、感じたことを社会に発信していきたい。
安心できる場所で自分にできることをして「ありがとう」と言われること。誰かに喜ばれた。気にかけてくれる誰かがいる。
私自身がそうやって、生きる力を取り戻してきたから、今度は「ありがとう」をつないでいきたい。
それに、私は今でも、
「とさかさんのお菓子はほっとする」
「とさかさんに作ってほしい」
皆さんのお声に、明日を生きる力を頂いています。
だから「ありがとう」の気持ちを込めて、お菓子を作る時は、食べて下さるお一人お一人を想って作りたいし、
限りある資源を使ってお菓子作りをさせて頂くのだから、工房の想いをきちんと届けていきたい。
たくさん売れなくていい。いや、たくさんじゃない方がいい。
どこかで、他の誰かもお菓子作りをして「ありがとう」をつないでいけるから。
「考えすぎ」とか「マジメだね」って笑われることもあるけど、多分私はそんな生き方しかできない。明日があるか分からない自分の人生だから、悔いのないように精いっぱい生きていきたいと思う。