SixTONES・松村北斗 こんなアイドルは今まで見たことがなかった
幼少期から男女問わず何人ものアイドルを愛し、アイドルに憧れ、アイドルを追いかけ続けたわたしがついに出会ってしまったアイドル、SixTONESの松村北斗。
知れば知るほど、彼のことがわからなくなる。
3年前、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の雉真稔役で初めて彼のお芝居を見たときに「うわ、危ない」と思った。
アイドルをしているときの彼にはどこかミステリアスさや憂いといった影の部分を感じることがあり(Imitation RainやTelephoneなどの楽曲の印象が強かったせいもあるとおもう)、それも魅力的だと思っていたのだが、雉真稔として昭和を生きている彼はさわやかで知的できらきらと輝いている「初恋のお兄さん」だった。
そこからじわじわと時間をかけて「松村北斗」をすきになってゆき、光も影も含めていろいろな表情を知るようになった。
「SixTONESがすきです」「松村北斗担です」と言えるようになるまでに3年もかかってしまったのだが。(あまのじゃくすぎる)
本当に、知れば知るほど彼のことがわからない。
事務所に3回履歴書を送った少年時代。教科書がシワクチャになるくらい読み込んでおり成績トップで表彰されていたとメンバーに明かされる高校時代。「陰キャなんです」と自称する。(女子に"うるさい!"と怒られたい願望があるらしい)
国宝級イケメンランキングで殿堂入りしておきながら「何かの間違いで獲ってる」「世界中で誰も思っていない」などと語るネガティブさは深夜ラジオでひときわ輝きを増す。
そんな彼が、ひとたびステージに上がれば。
サングラスの奥の挑発的な視線。キレのあるダンスととんでもない飛距離のジャンプ。不意打ちのニヤリと悪そうな笑み。身体をくねらせ舌を出す仕草。
歌声は内臓に響く重低音。シャウトはほとんど咆哮に近い猛々しさ。かと思えばとろけるように甘く優しいハイトーン。
弾けるような満開の笑顔はあまり多くない。ふんわりと微笑んだり、少し困っているようなあいまいな笑顔が印象的だった。
その表情がなんだか儚くて消えてしまいそうで、切なくなった。
こんなアイドルは見たことがなかった。
「生まれながらにして」とか「天性の」といった枕詞がつくような、わかりやすいアイドルはたくさんいる。いわゆる "一番星の生まれ変わり" というようなタイプだ。
おそらく、彼はそちら側ではない。
でもたしかに、圧倒的に、完璧なアイドルなのだ。
このアイドル性はどこからきているのか。
もっともっと知りたくて、過去の雑誌やインタビュー記事などをできる限り読み漁った。
一体なにが彼をステージに向かわせているのだろう。毎日のように考えていた。わからなかった。
「よくわからない」ということがこの上なく魅力的で、わたしを惹きつけて離さなかった。
そんなことばかり考えていたある日、ゲスト出演したラジオ番組でこんなことを話していた。
この言葉でようやくほんのすこしだけ、彼のことがわかった気がした。
キラキラしたアイドルでありながらも、きっとわたしと同じように悩んだり傷ついたり生きづらさを感じたりしている、普通の同世代の男の子だ。
こんな地獄みたいな世界のなかで、懸命に輝きを放っている。
そのことに気づいた瞬間、泣いてしまいそうになった。
わたしが彼のことをすきになった理由も、はっきりとした形を持つようになっていた。
松村北斗さん。
知ることに貪欲で幅広い分野に造詣が深いあなたならきっと他の選択肢もたくさんあったはずなのに、敢えてこの道を選んでくれてありがとうございます。
29歳、どうか毎日おいしいものを食べて、毎晩なんの心配もなく眠れますように。
大切にしている5人の仲間と、ずっと一緒にいられますように。こころから祈っています。