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保育の現場から学ぶ 子どもの世界に寄り添う育児

保育士が複数の子どもを1人で見ることができるのって、なんでか知ってますか?

実はここに、子育てを面白くするヒントがあります。

それは、
「子どもの世界に入ることができるから」

自分も子どもになるってことではないですよ。そんなことしたらケガやトラブル多発しますからね。

子どもの世界に入るというのは、子どもになりきるとかそういう意味ではありません。
言い換えると、
「子どもの目線に立ち、子どもの心やそれに基づく行動を予測する」

ということです。
予測ができれば先回りして行動をコントロールすることもできますし、あらかじめ環境設定で子どもの行動も設定できます。
これが保育士が複数人の子どもを見ることができる理由なのです。

ただし、もちろんそれだけではありません。
ポイントがあり、その部分が大事なのです。

なのでぜひ最後まで読んでいただけるとありがたいです。

ちなみにこれを親が身につければ、きっと子育てが少し楽に、かつ面白くなると思います。
しかも複数人を見ている保育士と違って、親が我が子1人に行うので、そんなに難しいことではないはずです。

ここからは、どうやって子育てに役立てていけばいいのかのお話になります。

まずは、子どもの行動の予測について、保育園での私を例に具体的にお伝えしますね。
保育士(私)→自分 保育園の子ども達→我が子
と考えて、想像しながら読んでみてください。
(ちなみに、現在0、1歳児の担任をしているのでそれをもとにお話しします。)

まず大前提として、私は保育園の子ども達1人ひとりの気質や性格、発達段階などを把握しています。
例えばどんな時に怒るとか、どんなことが好きとか、泣いた時どうやって気持ちを落ち着けるか、などなど。
それにプラス、その日の体調や家庭環境での影響なども加味してその子その子を見るようにしています。
すごくないですか?笑
(4月から見ている子達だからここまで把握できています。)

これを家庭の場合で考えると、そもそも自分の子なので、性格なども体調なども分かっていますよね。
なのでこの部分はクリアしていると思います。

この大前提をもとに、子どもの行動を予測します。
例えば、お友達と関わることは好きだが、発語がまだのため言葉で思いを伝えられず手が出てしまう。3日ほど体調不良でお休みしていたため、久しぶりの保育園でいつもより動きが活発。保育士の言葉が届かないこともあり、体も大きめの男の子(N君とします)。が、いたとします。
自由遊びの時、Nくんは人気のおもちゃで遊んでいて、近くの他の子(子どもAとします)は、そのおもちゃを欲しそうにしている。
とします。

何が予想されますか?

子どもAがそのおもちゃを「かして!」と言うが、N君は貸さずに無視。
Aはそれでも欲しいのでおもちゃに手を伸ばす。
N君は目の前に自分のおもちゃを取ろうとする手がくると、噛み付いて阻止しようとする。
と、私は予想します。

ちなみに、この予測のとき、私は心の中で自分も子どもになった気持ちでアフレコしています。
「あ!あのおもちゃ!ほしい!かしてもらお!」
「えー??貸してって言ってるけど絶対嫌だしなー。でもまだしゃべれないからかみついてやろうか!!」
みたいに。笑
これが「子どもの世界に入る」です。笑

話を戻します。先程の例を自分の子に当てはめれましたか?行動は違うと思いますが、よく知っている我が子であれば、観察するとこのように行動を予想することができますよね?

なるほど!子どもの行動を予測できるから、トラブルを防げるのか!
なんだ、簡単じゃん!
と思った人。
確かにそうですね。
でも、それだけじゃないんです。
それだけで10人も11人も見れません。
それに、ただ防ぐだけでは保育ではありません。
保育は、子どもの健康を保ちつつ成長を促すことです。ケガを防ぐことは「保」の部分で、「育」がないですよね。

それでは、子どもの行動を予測し子どもを見るときに大切にするポイントを3つ紹介します。

1:環境設定
2:ギリギリを見極める
3:子どもの世界を壊さない


1:環境設定
これはみなさんもやっていることだと思います。例えば、
・頭をぶつけると危ない部分にはガードをする。
・外を一緒に歩く時は手をつなぐ。
など、子どもの特性を理解し行動を予測した結果の対策ですよね。

保育園の先程の例だと、
・人気のおもちゃはそもそも出さない。
・出す時は保育士の近くに配置し、常に目が届くように。
・N君のそばに必ず保育士がつき、行動に目を配る(このとき、N君を常に視界に入れながら他の子も見る)
などの環境設定を行うことができます。

保育園では人数が多ければ多いほどこのように環境を整えることに重きを置いています。
それはトラブルが起きにくい環境を作ることが1番安全だから。
これが保育園で複数人を見れる大きな理由です。

ただし、環境設定に頼り過ぎると子どもの発達へのアプローチが薄くなってしまうので、家庭ではやりすぎないことが大切です。
トラブルや危険も子どもが学ぶ機会です。
その辺を意識した環境設定が必要です


オススメなのは、危険回避の環境設定ではなく、親が怒らなくてすむ環境設定です。
(落書きされたくないなら、子どもの手の届く所にペンを置かない。など。)

2:ギリギリを見極める
これは子どものことをよく分かっていないとできないことです。

保育園の例で言うと、
まずN君がおもちゃを貸してあげれずA君が怒るところまでは見守ります。
当然A君は怒っておもちゃを取ろうとするココがギリギリポイント!
ここでさっと保育士介入です。
保育士「N君、A君がこのおもちゃ貸して欲しいって言ってるよ?」
N君「やだ!」
保育士「そうだよね、今使ってるもんね、貸したくないよね」
保育士「A君、N君まだおもちゃ使いたいみたい。違うおもちゃ一緒に探してこよっか」
などと間に入ることで、この子どもたちは、
自分の思いを伝えること
相手の気持ちを知ること
感情を落ち着かせること

を学べるのです。
これが「育」の部分だと私は思っています。

家庭に置き換えてみてください。
例えば、転んだりぶつけたりすると危ないからと、公園での遊びを制限する。
そもそも公園へ行かなければ、遊具に触れさせなければ、常に支えていれば、危険はないかもしれません。
でも、自分でやってみる、少し怖いと思う、危ないかもと考える。こういった感情の経験ができなくなってしまいますね。

それよりは、ある程度自由にさせ、
できそうなところは挑戦させてみたり、
そうでないこともやらせてあげて、できない経験もさせてみたり、
さりげなくフォローしながら「できた!」の気持ちを引き出してみたりして、
子どもの成長にアプローチする
ほうがいいと思いませんか?
この時見守りはしっかり行うことが大切です。
見守りながら行動を予測し、子どもの学びを邪魔しないようなサポートができるようにします。
危険は回避するが、危険だということは自分で感じられるギリギリをねらう。ということです。

3:子どもの世界を壊さない
子どもには、子どもならではの考え方や気持ちがあります。
保育園の例で見ていきましょう。
【子どもの世界に入っていない場合】
おもちゃなんていっぱいあるんだから、取り合いなんかしなくてもいいのに。
そんなおもちゃより、こっちのおもちゃの方が絶対面白いでしょ!

なんて思ってしまうかもしれません。

【子どもの世界に入った場合】
これはみんなが羨むおもちゃだから絶対貸したくないんだよね!
噛み付いてしまうほど強い気持ちなんだ!
取られたら2度と遊べなくなるかもしれないもんね!
と思い、本気でN君の気持ちに寄り添うことができます。

子どもの気持ちを大切にする。寄り添う。というのは、上から目線で行うものではなく、子どもの世界の中に大人が入ることなのではないかと私は思っています。


このように、
行動を予測し、適切な環境を整え、子どもの成長の機会を奪うことなく気持ちに寄り添う
これが保育士が毎日やっていることです。
どうですか?保育士さんすごいって少しは思っていただけましたか??笑
じゃなくて、自分の子育てに活かせそうと思っていただけましたか?

保育園では環境命!で、常に子どもの安全を見守っています。そして子どもの成長を促すための知識を持って保育をしています。
整った環境にプロがいるから複数の子どもを見ることができるのです。

じゃあ育児とは違うじゃん!と思うかもしれません。
確かに、保育と育児は別物です。
ですが参考にできる部分は多いと思います。
だって、目指す所は同じですからね。
親も保育士も、子どもの健やかな成長という同じ目標を持っています。

この記事が少しでも子育てを楽しくするヒントになりますように。

最後まで読んでくださり
ありがとうございました。

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