京の丹波、野村家
京都産のラディッシュ
カチカチからフカフカへ。
ラディッシュを栽培するビニールハウスの中も見学させてもらった。
ぷっくり育ち、真っ赤な顔を半分ほど出した収穫間近のラディッシュは、今にも土のベッドから起き上がろうとしているように見えた。実のサイズは普段スーパーで見るモノより、ひと回りもふた回りも大きい。
ラディッシュが眠っていた土に触れてみると、フカフカでしっとり。だけど、「元々はカチカチだったんですよ」と幸司さんは話す。
「長年のほうれん草栽培で化成肥料を使い続けたことにより、土は硬く締まっていました。 」
ラディッシュ栽培に適しているのは、実が割れることなくまん丸に育って、根っこが下へ伸びやすい、保水性のある柔らかい土。だから土壌改良したそうだ。
「堆肥(たいひ)は町内にキノコ工場があることから、有機栽培で最近主流となっている、おがくずを原料としたキノコ栽培後の廃菌床(はいきんしょう)を用いました」太陽熱消毒と合わせ、年に一度は地域の資材をラディッシュの寝床に撒いて混ぜている。 」
また、ラディッシュは15~20℃を好むところ、黒枝豆の主要産地である京丹波町は、黒枝豆が甘味を蓄えるのに欠かせない昼夜の寒暖差が激しいため、温度管理も大切だ。
手塩にかけて育てたラディッシュの評判はといえば。まん丸で食べ応えのある大きさはもちろん、「加熱するとさらに甘味が出て、なのに中はみずみずしい!と喜ばれています」と、“農業の、これから。”を照らす遣り甲斐に満ちた今朝一番の笑顔で、幸司さんは答えてくれた。