母と一緒シリーズ👣散歩
母のマンションは
海に沈む夕日の見える場所にある。
散歩するには最高の立地
以前
家からあまり出たがらない母に
弟は心配して
散歩を勧めていたけれど
なかなか母が応じないとぼやいていた。
私も時々電話で、
海を眺めながらの散歩を勧めたけれど
何だかんだと理由をつけて
なかなか聞き入れてもらえなかった。
昨年の長期帰郷で
私たちが母に勧めた散歩コースの堤防を
わたしひとりで歩いてみた。
そして気づいたのだ。
そこは、年寄りがひとりで散歩するには
危険な場所だということに。
海の見える堤防は遊歩道になっていて
景色もとても良いけれど
土地の人ではない観光客や
マリンスポーツの若者がたむろしていることがあり、
時に近づきにくい雰囲気を醸し出している。
そこを避けようとしても
防風林の並木が続き
表の道に出られる場所は決まっている。
足の悪い年寄りには一苦労。
そして何より防風林が死角を作っている。
表の通りからは
すこぶる見通しが悪い。
人通りも多くないので
ひとりで転倒して叫んでも
きっと誰にも気づいてもらえない。
ある日
夕日を観ながら散歩しよう
と母が言った。
腰にコルセットをつけ
杖をついて
運動靴を履いて
ゆっくり歩く
歩幅も足を持ち上げるちからも弱い。
テトラポット越しの海を眺めながら
堤防の遊歩道をゆっくり歩いていると、
砂浜に出たいと母が言った。
手を繋いでゆっくりゆっくり
石の階段を下り
テトラポットにつかまりながら
砂に足をとられよたつきながらも
手を繋いで
気持ち良さそうに海に向かって歩く。
波打ち際まできて
波の寄せては返す波を眺め
潮騒を聴きながら
他愛のないことを話し
笑い
また歩く…
「ひとりじゃないから安心だわ」
と母が言った。
そうだったのだ
今の母には
ひとりで歩くことのリスクが大きすぎる。
決して、怠けて散歩に出ないわけではないんだ。
ひとりで出歩くことが不安で心配だね。
その後
いくつか散歩コースを話し合って決めた
👪人通りの多いところ
👣足場がしっかりしているところ
🏪コースの途中にトイレ休憩できる場所があること
買い物好きの母は
スーパー経由のコースが
一番いい
ということになった
スーパーには
トイレもベンチもエアコンも飲み物も
あるからね🍀
母と一緒に歩いてみなきゃ
わからないことがたくさんある。
今日はお散歩のお話でした。
最後まで読んでくださり
ありがとうございます🌸
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