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2時間を3時間で・・・

各教科において、年間の授業時数が決められています。さらに、教科書会社によって、単元毎の時数が設定されています。
私自身、この「時数」を気にして焦り、「こなす」ことが目的になってしまうことがあります。しかし、子供たちとの信頼関係や学級としての土台が不安定な状態で進めていくと、いつか崩れてしまうと思います。
だからこそ、この時期に大切にしたいのが「学級づくり」だと考えています。
しかし、「学級づくりの時間」はありません。ではどうしたらいいのでしょうか。

授業で学級をつくる

やはり、学級を作っていくためには、「授業」です。その「授業」の中で子供たちを、学級を育てていく必要があります。

「授業を進めなきゃ!」と思っていると、指導事項にばかり意識がいってしまいます。
しかし、授業でこそ、「聴き方」「話し方」等のスキルや「積極性」「相互理解」等の人間性の部分を育てていくべきです。いわゆる、ウラのねらいです。

A君を例に

A君は、自分の言いたことを言う、机の周りに荷物が散乱、友達関係でも暴言暴力が出てしまうようなお子さんです。周りの子からも引かれることが多いです。「またA君か・・・」と。
A君自身を育てていく必要もありますが、それと同時に周りも育てていく必要があります。

ある時間、雑巾を回収して休み時間に入りました。その雑巾の山は、ぐちゃぐちゃでした。どうするだろう、と見ていると何人かの子が整頓してくれました。その中にA君もいました。

次の時間、冒頭の時間を使いこのことを取り上げました。

「お、誰かが整頓してくれている。誰だろう」と聞くと、A君が答えてくれました。しかし、自身の名前を言いませんでした。

「Aくん。君はなんてかっこいいんでしょう!
 今、A君がかっこいいと思ったんだけど、どうしてか分かる?」

1人の男の子が、「自分のことを言わなかったから?」と答えてくれました。
彼は、自分の頑張りよりも友達の頑張りを讃えていたのです。

「こうやって、「俺がやった!」と自慢するのではなく、友達の頑張りを一番に認められるA君ってかっこいいよね。」

ちなみに、A君が友達の名前を言った後、すかさず、「A君もやっていたよ」と言う子がいました。もちろんこの子のことも認めます。
「A君の頑張りを見ててくれたんだね。A君を見捨てなかったね。ありがとう」と。

2時間を3時間で

おそらく、このような価値づけをしていると、授業時間は削れてしまいます。でも、こういった、「人づくり」「学級づくり」の時間を大切にしたいものです。

しかし、このような価値づけばかりやっていたら、本来単元の設定時数が2時間のところが、3時間になってしまうでしょう。結果、焦って「こなす」授業になってしまいます。

今回は、突発的な価値づけでしたが、「この授業なら、ここでいい表れが出てきそうだから、価値づけをしよう」と、ウラのねらいを持っていれば、焦る必要はありません。3時間かけてもいいんです。

その代わり、全体を見通して、「ここは3時間も必要なさそう。2時間でできるな」と、計画を変えていけばいいのです。見通しや計画がないから、「時数」に追われ焦ってしまうのです。

終わりに

子供たちを、学級を育てていくのは、「授業」です。
だからこそ、教師が何をねらいにするのか、どこに価値をおくのか明確に持つ必要があります。
合わせて、計画を見直したり、全体を見通したりする力が求められます。

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