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例文暗記について、改めて
今回は例文暗記の方法について詳しく述べたいと思います。丸暗記ではない暗記の方法というのがピンとこないという人が多いようです。あまり具体的な手順を説明してくれる先生がいらっしゃらないのかもしれません。
例文暗記の方法は、このアカウントを開設したころに一度まとめております。
例文を覚えるための活動において中心をなすのは、「声出し」と「筆写」の2つです。どちらにも共通する前提として、まずは文法知識を理解することが必要です。独学であれば文法書を何冊か熟読し、先生に教わっている場合は授業で学んだことを確認しておきます。この段階での理解はまだ実感を伴ったものではないかもしれませんが、この実感は例文と向き合う過程で後からついてきますから心配しなくて大丈夫です。
文法知識がとりあえず理解できたら、それを例文で確認していきます。例文のどの部分が今学んでいる文法現象なのかを目で見て確認するのです。このときに文全体の構造を把握するようにすると、今焦点を当てるべき文法現象がどこに生じているのかが明確になります。意味や使い方の分からない単語は辞書で調べて確認します。例文の多くは日本語訳がついていますから、自分で訳して、示された日本語訳のようになるのか確認しましょう。このときに「この英語と日本語は本当に同じ意味なのかな?」「この意味なら違う英語で表現できそうだけど、どう違うのだろう?」など、さまざまな疑問がわきます。こうした疑問を解決する手段は3つ、辞書や参考書の参照、友達との話し合い、信頼の置ける教師への質問です。この「確認」の過程で「あっ、そうなのか」「なるほど!」といった気づきがいくつもえられます。この「気づき」がことばを使えるようになるには大切なのです。
「声出し」では、上記の「確認」で理解した例文のしくみが自分の音読に反映されていくか確認していきます。逆に、とりあえず声に出してみて、「本当にこの読みでいいのかな?」という疑問がわいて「確認」に戻ることもあります。「声出し」は実際に話すことの疑似体験ですから、例文がどのような文脈・場面で使われるのだろうかと考えて、それを踏まえた音声化を心がけることも大切です。文脈・場面に関しては5W1Hのような自問自答をするとよいでしょう。「声出し」は初めのうちは例文を見ながら発音していきますが、Read & Look Upという、まず文を見て、声に出す時には顔を上げて「話す」やりかたに移行するようにしていきます。
「筆写」の場合は、初めから「英文を見る→書き出す」という流れになり、「声出し」のように元の例文を見ながら同時に、ということはできません。そのぶんだけ例文をしっかり見ることができます。上記の「確認」で出てくる疑問は「筆写」の最中に出てくることが多いでしょう。そうした場合は書く作業を中断してでも疑問の解決を優先させるべきです。疑問の解決をおろそかにすると丸暗記に陥ってしまうのです。「筆写」をしながら「声出し」を試みるのもいいでしょう。「こういうしくみになっているから、こう読むのだな」と確認しながら音声化できます。「筆写」の場合も徐々に元の文を見ないで書く「暗写」ができるようにしていきます。ただし、丸暗記ではないので、暗写や暗唱を急ぎすぎないようにすることも重要です。この段階で、リンク先の記事で紹介したディクテーションや和文英訳を実践するのが効果的です。
なお、独学でこの作業を行う場合は、文法の解説と、音源の利用できる例文集を使いましょう。ただし、英語として不自然な文が例文集に紛れ込んでいることもあるので、できれば信頼の置ける先生に質問できる環境があるのが理想的です。