「受験英語」の学習手順
「受験英語」というのは、入試問題が解けるようになるための英語学習を指します。「受験に出る」というのは「入試に出る」の意味で、「うんこする」の代わりに「トイレする」というようなメトニミー(metonymy;換喩)によるものです。もっとも「入試」という言葉には「うんこ」ほど忌避の必要性はなさそうなので、「受験に出る」は単に「頭の悪い人の語法」なのかもしれません。
受験勉強ですから、受かるために勉強したいと思うのは自然なことです。無駄は排除したいという受験生の気持ちもうなずけます。では、入試問題と同じ形式の問題をひたすら解き続けることが、最も効率的な受験勉強なのでしょうか。あるいは、難度の高い入試問題に挑むには、初めからその難度の問題に取り組むことが最善なのでしょうか。
多くの受験生には、こうした受験勉強はあまり効率的でも効果的でもありません。基本的なところから段階的に学ぶ、入試問題を解くために必要な知識・スキルを切り分けて学ぶ、といったことが必要になります。これを受験勉強を開始する時点における受験生の個々の学力・学習状況に応じて最適化された学習手順に従って実践していく必要があります。
この「基本的なところから段階的に学ぶ、入試問題を解くために必要な知識・スキルを切り分けて学ぶ」ときの、「シラバス」と呼ばれる学習単元の配列が、受験生自身が適切に行うことは難しいです。また市販の参考書・問題集も実際の活用法は、この単元構成の中に落とし込まなければならないので、個々で違ってきます。少し専門的な書き方をしましたが、それくらい、プロの助言が必要なところである、ということなのです。
ひとつだけ、受験英語の大まかな手順を示すとするならば、「文から文章へ」という手順で学ぶということです。これは小さな単位から大きな単位へと学習を進めていくことになりますから、「文」のしくみとして、「語」や「句」といったより小さい単位も文の構成要素として、そのしくみに習熟する必要があります。そして「文」から「文章」へと学びを進めていく過程で「パラグラフ」という単位にも目を向けていくことになります。これらを多くの受験生の母語である日本語と照らし合わせて日英語の違いを意識し、日本語に引っぱられないように注意しながら学んでいくのです。