空回りする文法問題演習
文法ばかりやっても英語はできるようにならないと言われます。文法は言語を支えるしくみですから、学ばないでいいはずはありません。誰でも言語を使う人は何らかの形で文法を身につけています。それにもかかわらず文法は無駄と言われるのは、文法の学び方に原因があります。というよりは、文法を学んでいるつもりで実は学べていない現実があります。
実際に英語を使う環境であれば、まだそれなりにことばが身につくのでしょう。ところが文法問題漬けではそうはなりません。文法問題集に収録される問題の大半を占める4択の適語選択問題ですが、これを空所の前後2センチくらいしか見ずに解答する人が多いようです。文法問題そのものは文の形で作ってありますが、学習者の視野に入るのは、空所の前後2センチという断片です。ことばの使用場面から切り離された断片にいくら触れても、その断片を学習者が自ら紡ぎ出すようにはならないでしょう。断片の背後にある法則性に気づきにくいからです。
しかも、こうした問題集の解説は、文法学習をある程度経験している人向けに書いてあります。英文法を明示的に、体系的に学んだ経験のない人には十分な量の解説とは言えません。これでは断片の背後にある法則性には気づけません。断片の背後に法則性が見いだせれば、その前後はどうなっているのだろうという疑問がわき、やがて文全体を観察してみようという動機が芽生えるかもしれません。しかし、空所の前後2センチが文字列、あるいはせいぜい単語列にしか見えないのであれば、そのような動機は出てきません。
だから、惰性はだせぇ、となるわけです。