看護師国家試験対策をやってみよう①
はじめに
突然ですが、はじめまして。
私は「フクロウの助産師」という屋号で活動しているフリーの助産師です。
実は私、看護専門学校で講師として授業を受け持ったことがあります。
そして私、勉強するのが趣味みたいなところがあります。
(ただし興味がある分野・笑)
学生さんたちを見ていると、勉強の仕方がわかっていないんだろうな〜って思うことが多々ありました。そして今年は感染症の影響で、授業や実習に影響が出ているんじゃないかと思います。
ですが、こういう時こそ『自分で勉強する力』を身につけてほしい!そうすれば、きっと臨床で働き初めてからも役に立つと私は考えています。
なので、今回は国家試験の過去問をどうやって解いていくか、2020年第109回の看護の国家試験問題を使って解説していきます。ちなみに、私は得意分野が母性看護学ですので「母性看護学」の問題をセレクトしていきます。
問題
児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促すのはどれか。
1.オキシトシン
2.プロラクチン
3.テストステロン
4.プロゲステロン
これは午前中の必修問題です。
正答率が9割越えですから、簡単な問題となります。
勉強の仕方 〜 解説をしてみよう! 〜
多くの人は、ここで「1」を選んでスルー次の問題に行ってしまうかもしれません。
ですが、それはもったいない。
もし、この答えがスッと出ない人にあなたはどう説明しますか?
2、3、4がどういうもの(ホルモン)か説明ができますか?
「なぜこの答えが正しくて、他の答えが間違っているんだろう。」
という疑問を持って解いていくと、理解につながります。
その時注意したいのが、自分で教科書などから探して答えを見つけてください!
自分で答えを見つける方法を得ておかないと、臨床現場ではそんなに問題(疑問)に対してすぐに解説はありません。
解説
どう解説すればいいかわからない人のために、解説のお手本を載せておきます。
「オキシトシン」というホルモンは、視床下部で作られ、下垂体後葉から出るホルモンです。乳汁分泌に関与するホルモンで、赤ちゃんが吸啜すると分泌し、乳房の腺房を収縮させて、乳管内に乳汁を押し出す作用(射乳)があります。また、子宮筋を収縮させる作用があるので、分娩時の陣痛促進剤に用いられます。また、授乳中に子宮が収縮し痛みを伴う「後陣痛」が起こします。
「プロラクチン」は、下垂体前葉で作られ、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。このホルモンも、オキシトシンと同様、乳汁分泌に関与するホルモンです。赤ちゃんが吸啜する刺激で分泌され、乳腺細胞に働きかけて乳汁を産生します。このホルモンは、卵巣機能を抑制する作用も持っています。
「テストステロン」は精巣のホルモン。精巣に精子を作らせる作用があります。それ以外に、男性的な特徴(ひげや声変わりなどの第二次性徴)を発現させる働きがあります。
「プロゲステロン」は黄体ホルモン。性周期の中で、排卵後に分泌量が増加し、子宮内膜を着床に適した状態にします。妊娠すると黄体は「妊娠黄体」となり、プロゲステロンは分泌されます。(産生場所は妊娠黄体からのちに胎盤へ移行します。)子宮筋の収縮を抑制して妊娠を維持したり、乳腺の発育に関わります。
ですから、答えは「オキシトシン」となります。
国家試験対策は過去問を使おう!
国家試験で勉強する人あるあるなんですが、いろんな問題に手を出しちゃう。
そんな学生さんから質問があって問題を見たのですが、まぁ問題が難しい。このレベルは看護師の国家試験ではでないよ、って問題を解いていたんです。そりゃわからない。それより過去問を何度も見直して、解説できるくらいまで理解した方がいいです。
また過去問を解いた方がよい理由として、「似たような問題」もしくは、「ほぼ同じ問題」が過去に出ていたりするんです。例えば先ほどの問題、第103回の国家試験でこんな問題が出ています。
分娩時に分泌が亢進し、子宮筋を収縮させるホルモンはどれか。
1.エストロゲン
2.オキシトシン
3.バソプレシン
4.プロゲステロン
子宮筋を収縮させるホルモンはどれだったか、分かりますよね?
ちなみに2と3は共通点があり引っかけになっているのですが、分かりますか?
この勉強法は時間がかかります。ですから、この勉強法だと今からでもギリギリ。
ですがこのように丁寧に問題を解くことで理解が深まるので、たくさん問題の解説を作らなくても、気づいたら問題が解けるようになっています。(個人の感想です。)
まずは、第109回の過去問の解説を自分で作ってみませんか?