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ストーカーの心理とは?対処法と防衛策を心理学的に解説

第1章:ストーカーの心理とは?「なぜ彼らは執着するのか」

ストーカー被害に遭うなんて、まさか自分には関係ない——そう思っていた。いや、正確には、関係ないと思いたかった。でも、気がつけば、日常が少しずつ、けれど確実に侵食されていく。見覚えのない通知、遠くから感じる視線、ポストに入る差出人不明の手紙。最初は偶然かと思った。でも、そんなわけはなかった。

これは、数年前の私の話だ。ストーカー被害とまでは言わないが、今振り返ると、それはまさに「始まり」だったのかもしれない。

ストーカーという言葉は、日本では1990年代後半から急速に認知されるようになった。それ以前も、ストーカー行為そのものは存在していたが、「一途な愛情」「熱心なアプローチ」などと誤解されることも多く、深刻な問題として認識されていなかった。しかし、社会が進化し、情報が広まるにつれ、その危険性が次第に明らかになってきた。ストーカーは単なる「しつこい人」ではない。彼らの行動には心理的なメカニズムがあり、その執着心には明確な理由がある。

では、なぜ人はストーカーになってしまうのか? そして、ストーカーはどのような心理で行動するのか? この記事では、その背景を掘り下げていこう。


ストーカーの心理とは?執着のメカニズム

ストーカー行為に至る心理には、大きく分けて3つの要素が関与していると言われている。

1. 「認知のゆがみ」——ストーカーは現実を都合よく解釈する

ストーカー行為をする人の多くは、自分が相手に対して「特別な存在」であると信じている。たとえ相手がはっきりと拒絶の意思を示していたとしても、彼らはそれを「試されている」「本当は自分を求めている」などと、都合よく解釈する傾向がある。これは「認知のゆがみ」と呼ばれる心理現象で、客観的な事実よりも、自分の思い込みが優先される状態だ。

例えば、友人の紹介で知り合った男性がいた。最初は普通に会話をしていたが、私はそれほど興味がなかったので、早々に距離を取った。しかし、彼は「俺が本気を出せば振り向いてくれる」と確信しているようだった。共通の知人を通じて、「彼女は照れているだけ」などと発言していたらしい。これこそが認知のゆがみの典型例だ。


2. 「執着心とコントロール欲求」——相手を支配しようとする心理

ストーカーの中には、単なる好意ではなく、相手を「所有したい」という欲求を持つ者も多い。彼らは「愛しているからこそ、そばにいなければならない」と考え、相手の自由を奪おうとする。これは、恋愛というよりも、むしろ「支配欲」に近いものだ。

心理学者ジョン・ボウルビィの「愛着理論」によると、人は幼少期の経験によって、対人関係のスタイルが形成されるという。幼少期に親との関係が不安定だった人ほど、愛情を「支配」しようとする傾向がある。つまり、相手が離れようとするほど、強くつなぎとめようとする。これは「アンビバレント愛着」と呼ばれる状態で、ストーカー行為にもつながる可能性がある。

私は過去に、「別れるくらいなら、お前を傷つけてでも手放さない」と言われたことがある。もちろん、実際に危害を加えられたわけではないが、その言葉にはゾッとした。彼にとって、私の意思は関係なく、「彼がどうしたいか」だけが問題だったのだ。


3. 「自己正当化の心理」——相手が悪いから、やってもいい

ストーカー行為をする人は、自分の行動を正当化する傾向が強い。例えば、「彼女が俺を振ったのが悪い」「あんなことを言ったから、仕返しするのは当然だ」など、自分の行動を正しく思い込む。

これは「認知的不協和」という心理メカニズムによるものだ。人は、自分の行動と信念が食い違うと、不快な気持ちを抱く。その不快感を解消するために、「自分は正しい」「相手が悪い」と思い込むのだ。結果として、ストーカーは「自分が被害者である」と考え、行為をエスカレートさせていく。

実際、私が無視を決め込んだ相手から「俺を傷つけたんだから、謝るのが当然だろう?」と詰め寄られたことがある。彼の中では、「傷つけられた自分」が正義であり、私に謝罪させることが「正しい行動」だったのだろう。


まとめ:ストーカーの心理を知ることで、対策の第一歩に

ストーカー行為は、単なる「しつこい人の行動」ではなく、心理学的な背景を持つ深刻な問題だ。認知のゆがみ、支配欲求、自己正当化——これらの要素が組み合わさることで、ストーカー行為はエスカレートする。

そして重要なのは、誰もがストーカー被害に遭う可能性があるということだ。私も、最初は「ただの勘違いだろう」と思っていた。しかし、異変に気づいたときには、すでに相手の執着は深まっていた。ストーカー行為は「気にしなければいい」とか「無視すれば終わる」ものではない。むしろ、対処を誤ると、事態は悪化していく。

では、ストーカーはどのようにエスカレートしていくのか? そして、どんな行動が危険信号なのか? 次章では、ストーカー行為が深刻化する過程について詳しく解説していく。

第2章:ストーカー行為がエスカレートする理由と危険なサイン

「あれ? なんだか最近、誰かに見られている気がする——。」

最初は気のせいだと思った。でも、何かがおかしい。駅の改札を通るとき、スーパーで買い物をしているとき、カフェで一息ついているとき——ふとした瞬間に、同じ人物の視線を感じるようになった。もしかして偶然? いや、そんなはずはない。

こうした違和感は、ストーカー行為がエスカレートする兆候のひとつだ。誰だって、最初は「気のせいかもしれない」と思いたい。でも、ストーカー行為というのは、じわじわとエスカレートするもの。最初は些細な行動でも、次第に常軌を逸していく。

では、なぜストーカーは行動をエスカレートさせるのか? 彼らの心理の裏には、一体何があるのか? そして、どの時点で「これは危険だ」と判断すべきなのか? この章では、ストーカーがどのように深みにハマっていくのか、そのメカニズムを詳しく解説していこう。


ストーカー行為がエスカレートする3つの理由

1. 「距離を詰めたい」という衝動

ストーカー行為の根本には、「もっと近づきたい」という強い欲求がある。最初はSNSでのいいねやコメントといった小さな接触から始まり、次第に「リアルで会いたい」「もっと自分を意識してほしい」という思いが募る。そして、その思いが理性を超えたとき、行動がエスカレートする。

ある日、私は何気なくSNSに「最近このカフェにハマってる!」と投稿した。すると、その翌日、そのカフェで偶然を装って声をかけられた。「お前もここ好きだったんだ?」——最初はただの偶然だと思った。でも、それが続くうちに、私はようやく気づいた。これは「たまたま」じゃない。彼は、私の行動を監視していたのだ。

ストーカーは、対象者との距離を縮めるために、あらゆる手段を使う。情報を集め、相手の動きを予測し、偶然を装って接触を試みる。そして、最初の一歩が成功すれば、次はもっと大胆な行動に出る。ストーカーにとって、距離を詰めることは「関係が進展している証拠」なのだ。


2. 「拒絶」に対する異常な耐性

普通の人は、好意を持った相手に拒絶されれば、そこで諦める。しかし、ストーカーは違う。むしろ、拒絶されることで「もっと頑張らなければ」と考えるのだ。

この心理の背景には、「心理的リアクタンス」という現象がある。人は、何かを禁止されると、逆にその行動をしたくなる傾向がある。ストーカーの場合、「もう連絡しないで」「近づかないで」と言われると、「そんなことを言われるほど、まだチャンスがあるはずだ」と思い込む。そして、その思い込みが彼らをさらなる行動へと駆り立てる。

私は以前、一度だけSNSのDMで「ごめんなさい」と断ったことがある。すると、その翌日からメッセージの量が倍増した。「まだ諦めない」「時間をかければきっと振り向いてくれる」。私は驚いた。普通なら、そこで終わるはずなのに、彼にとってはむしろ「やる気スイッチ」が入ったようだった。

このように、ストーカーは拒絶を「終わり」ではなく、「戦いの始まり」と捉える。だからこそ、普通の方法では止められないのだ。


3. 「手段のエスカレート」

ストーカーは、一度成功体験を得ると、より強い刺激を求めるようになる。最初は遠くから見ているだけだったものが、次第に尾行、接触、脅迫へと発展していく。

たとえば、あるストーカーのケースでは、最初は「挨拶」だけだった。しかし、それに相手が応じると、「話しかけても大丈夫なんだ」と認識し、次は「LINE交換」を求める。そして、それが叶わなければ、今度は「待ち伏せ」という手段に出る。

こうして、ストーカーの行動はエスカレートする。最初の段階でしっかりと境界線を引かなければ、次の段階へと進んでしまうのだ。


危険なサインを見極める

では、ストーカー行為がエスカレートし始めたとき、どの時点で「これはやばい」と判断すべきなのか? 以下のようなサインが見られたら、早急に対策を講じるべきだ。

  • 「偶然」が頻繁に起こる(同じ場所で何度も出くわす)

  • 連絡が一方的に増える(返事をしないのにメッセージが来続ける)

  • 共通の知人を通じて情報を探られる(あなたの動向を把握しようとする)

  • プレゼントが送られてくる(頼んでもいないのに、ものが届く)

  • 自宅周辺での目撃情報が増える(物理的な接近が始まる)

このような兆候が見られたら、「無視すればいい」「そのうち飽きるはず」などと思わず、適切な対応を取ることが重要だ。


まとめ:ストーカー行為は突然激化する

ストーカーは、最初から危険な行動に出るわけではない。多くの場合、「最初は些細なこと」から始まり、それが徐々にエスカレートしていく。だからこそ、早い段階で適切な対策を講じることが必要だ。

私は、過去の経験から学んだ。ストーカーは「偶然を装う」ものだ。だからこそ、「気のせいかな?」と思った段階で、一度立ち止まって考えてほしい。これは本当にただの偶然なのか? もし違うなら、次の段階に進む前に、適切な対応を取らなければならない。

しかし、「対処法を間違えると、ストーカーはさらに行動をエスカレートさせる」という厄介な問題もある。では、ストーカーに遭遇してしまったら、どのように対処すればいいのか? そして、どんな行動が逆効果になってしまうのか?

次章では、ストーカーに対する具体的な対策について、詳しく解説していく。

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