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【第37回】マディ・ウォーターズ/アット・ニューポート

突然ですが私は故野村克也さんが大好きです。「ID野球」とか「野村再生工場」とかもろ世代だ。当時弱小チームだったヤクルトスワローズを優勝に導いた手腕には興奮したモノだ。ヤクルトスワローズの監督をやられていたとき、毎年シーズン開幕の直前に、確かニュースステーションだったと思うのだが出演されていて、今年の展望などをお話されていた。その際に「今年はダメだね、うちの4番が巨人いくと6番だもん」なんてネガティブなことを発言する年は優勝していて、逆に「去年に比べて戦力は整った、優勝した昨年より期待しても良い」なんてポジティブなことを発言する年はたいてい成績は良くなかった。これに気づいた私は「この人ホントタヌキ親父だなぁ」と感心したものである。
ノムさんの名言はたくさんあるけれど「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」という言葉が1番印象に残る。なるほど確かにノムさんはたくさんの好成績を残してきたけれど、選手を一流に育てるとか、選手を再生させるとか、そっちの方にこそノムさんの真髄があるような気がする。それによってたくさんの野球ファンを幸せにしてきて、それってスゴい貢献だよね。
さて、ずいぶんと前置きが長くなってしまったけれど、今回書かせていただくのは、シカゴ・ブルースのビッグ・ボスこと「マディ・ウォーターズ」である。マディさんもノムさんのようにたくさんのブルースマンを輩出してきた人だ。以前にも書かせていただいた「ベスト・オブ・ザ・〜」はもちろん大好きだけれども、それ以上にたくさんのステキなブルースマンに出会わせたいただいたことに感謝している。いわゆるマディ・ファミリーってやつですね。
こんなにマディさんに感謝してるのに、私が聴いたことのあるマディさんのLPは「ベスト・オブ・ザ・〜」ともう一枚、「アット・ニューポート」というライブ盤だけである。
「マリ〜、ワラール(マディ、ウォーターズ)」の紹介から始まるこのライブ盤はマディさんの男気がたくさん詰まったLPだ。
「モージョー・ワーキング」という曲が収録されているのだが、お客さんの盛り上がりが良かったからなのか、この曲連続してもう一度演奏している。これこそ本当のアンコールである。同じ曲だろうがなんだろうがお客さんが求めてることをする。これぞマディさんの男気①である。
最後に演奏される「グッバイ・ニューポート・ブルース」という曲、こちら「オーティス・スパン」というピアノ・ブルースマンが歌っている。なんかマディさんがスパンさんに「おまえ、最後時間やるからやってこいよ」みたいな感じで演らせてあげたんじゃないかと思っている(ただの想像ですけれど)。実際これをきっかけにスパンさんは注目されることになる。これぞマディさんの男気②である。
LP全体を通してみてもマディさんのどっしりと構えた男臭いブルースが、ライブの臨場感とともに楽しめる名盤である。是非「ベスト・オブ・ザ・〜」とセットで楽しみたいLPだ。
さて、このようにノムさんもマディさんも人を残した一流の人だったが、私はというと小金を残す三流にも満たない人間だ。でもまあ、三流でも少しでも残せるものがあれば良かったんじゃないかと思う、甘々な私である。

人残し
ブルース界に
マジ(マディ)貢献

季語はブルース。

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