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【第48回】サニー・ボーイ・ウィリアムソン/ブルース・クラシックス・3

以前「サニー・ボーイ・ウィリアムソンⅡ(以下「サニーⅡ」)」について書かせていただいたが、今回は元祖「サニー・ボーイ・ウィリアムソン(以下「サニーⅠ」)」について書かせていただこうと思う。
ちなみにⅠとかⅡっていうのは、本人たちがそう名乗っていたのではなく、周りの人たちが区別するためにそう名付けたようだ。そのあたりのエピソードは「サニー・ボーイ・ウィリアムスン/ダウン・アンド・アウト・ブルース(第32回)」でかんたんに書かせていただいているので、興味のある方は是非そちらも読んでいただけると嬉しいです。
そしてサニーⅠ・ⅡというとサニーⅠのほうが年上という感じがするけれども、実はサニーⅡのほうが年上である。しかし活躍した時期はサニーⅠのほうが10年ほど早くて、戦前に多くのレコーディングをしているようだ。サニーⅡは戦後のシカゴ・ブルースで活躍しているので、結構遅咲きの人だったんだね。
さて、今回私が聴いたLPは「ブルース・クラシックス・3」の「サニー・ボーイ・ウィリアムソン」である。私はLPを購入するとき、たいていライナーノーツが同梱されている国内版を選ぶようにしている。ライナーノーツを読むとその人となりがわかったりして、とても参考になって便利だからだ。しかしこの「ブルース・クラシックス・シリーズ」にはどうも国内版は存在しないようである。そのためこのLPは海外版で聴いており、あまりサニーⅠの情報がわからなくてちょっと残念だ。
しかもこの人、ネットで調べてもあまり情報が出てこない。わかったのはサニーⅡだけでなく、他にもいろいろな人がこの人の影響を受けて「サニー・ボーイ・ウィリアムソン」を名乗った人がいたこと、強盗にアイスピックで頭を貫かれて若くして亡くなってしまったことくらいである。それだけでもなかなか強烈な印象を残すエピソードである。
さて、肝心の中身についていうと、ロバート・ジョンソンやリロイ・カーのような、戦前ブルース特有の古臭い雰囲気が味わえる。戦前ブルースの雰囲気って、うまく説明できないのだけれど、なんというかやけにボーカルの音が際立っていて、古い蓄音機から聴こえてくるような感じである。戦前ブルースってこの独特の雰囲気がたまらなく良いよね。
それから「スロッピー・ドランク・ブルース」という曲、聴いたことあるなぁと思っていたら、「ジミー・ロジャース」も演っている曲だった。好きなブルースマンも演っている曲なのに、すぐに気づけないところが情けないところではあるのだが、なかなかにカッコ良い曲である。
最後に私が購入したLPについて。当然私はこのLPを中古で購入したのだが、LPを入れる紙の袋に収録されている曲の長さがメモされていた。以前の持ち主がメモしたものであろうが、なかなかマメな人だったようだ。このLPに限らず、中古で購入するとこういった類のメモ書きが残っていることが少なくない。購入した日であろう日付がメモされていたり、ライナーノーツにアンダーラインを引いていたり。こういうのって前の持ち主のことをほんの少しだけ覗き見した感じがしてちょっと面白い。ちなみにこのLPのメモには曲の長さのほかに、○の記号が記入されている。気に入った曲にでもつけたものなのだろうか、はっきりしたことはわからない。もし前の持ち主と出会えてお話ができたら、ちょっと面白いなぁと思う。私は人見知りしちゃうタイプだけれどもね。

俺こそが
元祖サニーだ
青(ブルース)少年(ボーイ)

季語はブルース。

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