理科系の作文技術
文章を書くと言っても,なかなかうまく構成できない.論理がぐちゃぐちゃになってしまう,何を書いているんだっけなど悩んでいる人もいるでしょう.
今日はそんなあなたのために,『理科系の作文技術』という本をもとに”相手に伝わる文章”を書くテクニックをアウトプットしていこうと思います.
この本は理科系と書いてありますが,普遍的に役立つ内容となっています.文章のうまさに主眼を置いた従来のアプローチとは違い,ひたすら「明快・簡潔な表現」を追求したため,文科系の読者にも刺激を与え,様々な立場から評価されました.
◯仕事の文書の心得
仕事の文章を書く上で,大原則となるのが必要なこと「だけ」もれなく記述するということです.
必要でない,自分の感想や,自分の伝えたいことではない話題を書いてしまうと読み手に与える印象が散漫になってしまい,文章の説得力が低下してしまいます.
なので,仕事の文章を書くときには1文章1主題を心がけ,そこからその主題(伝えたいこと)に必要な事実,意見,例,エピソードなどを肉付けしていきます.
また,書くまえに目標規定文を書くと,文章がひとつの主題に収束するようになります.
【目標規定文の例】
このレポートでは,ランダムな変動を考慮に入れても,1990年代以降,冬の平均気温が上がっている事を示す.
目標規定文は,書いている途中で材料の取捨選択に迷ったときにも,判断を助けてくれるので特に初心者の人にはおすすめです.
◯文章の組み立て
重点先行主義というものがあります.
これは重要なポイント,要点を最初に書いてしまおうというものです.その方が,読者は文章を読んでいく中で書き手の言いたい事を意識して読むことができ,理解・吸収する手助けになるからです.
新聞の記事というのも,最初にリード文があって後に本文(詳細,いろいろな角度から見た意見)があります.
このリード文には最も重要なポイント,要点が書いているため,読者がどこで読むのをやめたとしてもあまり偏らない情報を得られます.
◯文章の構成
目的地に行くとき,様々な経路があるように,同じ前提から出発して同じ結論に到達する論理の筋道は,必ずしも一つではありません.
なので,自分が辿った紆余曲折の道をそのまま伝えるのではなく,最も簡明と思われる道(順序)に沿って書くことが大切です.
そして,文章の価値を決めるのは,内容である事は間違いありません.その意味から言えば,文章の構成ー何がどんな順序で書いてあるのか,その並べ方が論理の流れに乗っているのか,各部分がきちんと連結されているのかーを考えることが大切です.
文章の構成は構成表を作成して考えます.
序論,本論,結びの3つに分けて考えます.序論には1〜3パラグラフ,結びは1パラグラフが大体分量で,本論は①検証の方法,②結果,③論議,の三つの節にわけ,場合によっては節のなかにさらに小さな節に分けます.
大切なことは,「必要な項目を落とさないこと」「構成表の同じ段落には,同じ格のものが並ぶようにすること」です.
そして各パラグラフにはトピックセンテンス(ないについて何を言おうとするかを概論的に述べた文)を入れましょう.
◯脱・日本語の文章
日本語の文章は最後まで読まないと結論がわからないのに対して,英語は,一つひとつの文は,読者がそこまでに読んだことだけによって理解できるように書かなければいけません.
これは,まさに理科系の仕事の文章にも当てはなります.
まさに日本語の文章とは逆茂木型,英語の文章は茂木型と言えるでしょう.
なのでできる限り,逆茂木型から茂木型の文章が書けるように練習しましょう.
そのためには,
①一つの文の中に,二つ以上の長い前置修飾節は書き込まない
②修飾節の中の言葉には,修飾節をつけない
③文または節は,なるべく前とのつながりが理解できるようなことがで書き始める
ことを意識して書きます.
また,日本人の悪い癖,「であろう」「と言って良いのではないかと思われる」「と見ても良い」「と考えられる」といった濁したような表現は決して使ってはいけません.
日本人は,相手をおもんぱかって自分の考えを明言しない習慣がありますが,もっと自分の考えを主張すべきです.
少なくとも仕事の文章においては,とことん突き詰めた明快な表現が必要です.
◯「事実」と「意見」
仕事の文章では,「事実」と「意見」の区別を明確にすることが重要です.
事実を記述するときの原則
①その事実に関して,書く必要がある事は何かを十分吟味する
②ぼかした表現に逃げずに,できるだけ明確に書く
③できるだけ名詞と動詞で書き,主観に依存する修飾語を使わない
事実の記述は,一般的ではなく特定的であるほど,また抽象的ではなく具体的であるほど,情報としての価値が高く,読者に訴える力が強くなります.
意見の種類
推論,判断,意見,確信,仮説,理論
この大まかな5点をおさえれば,”相手に伝わる”文章が書けるようになります.一番大切な事は,文章を書くという事は誰かが読むという事ですから,その人のことを思って書いてあげることです.1〜5まで説明すれば分かる人もいれば,1〜10説明しないとわからない人もいるわけです.
誰に書くのか,何のために書くのか,何を主張したいのかを意識して文章を書く練習書していきましょう.