どうしようもなく孤独を感じる夜
夜、家に帰って独りでご飯を食べていると、唐突に言いようもない孤独感を感じることがある。これは、何だろうか。
ストレスが原因なんだろうか。
「まぁ、なんでもいいか」
そう思って、基本的に僕はやり過ごす。孤独であることには、もう慣れた。20年、孤独に独りで生きているのだから、問題ない。
問題ないが、意識してしまうときになるのが、人間というモノだ。
こういった日には、コーヒーでも飲んでゆっくりと読書をすることに限る。
孤独を感じているのは、過去を思い出すからか。それとも、無駄に考えることが多いからだろうか。いや、特に理由などないのかもしれない。
僕は、理由もなく唐突に孤独を感じることがある。ストレスを理由にしてしまえば簡単だが、なんだかそれは味気ない。どうせ眠れずに孤独に考え続けるのだから、思い切り向き合ってやろう。
そんな思いで、ぐったりとしている体に鞭を打って本を読み始める。
本をめくる音と、自分の呼吸音。そして、本の展開に合わせて変わっていく心拍。ここだけ、別の小さな世界になっているのかと勘違いしそうになる。BGMなんていらない、この小さな孤独な自分を見つめてしまえばいい。
しばらく向き合っていると「孤独に慣れる」時間帯が来る。これは、空腹と似ているところがある。お腹が減ってしばらくは我慢できない、絶望しかない時間を過ごすことになる。
しかし、しばらくするとその空腹に慣れて、別の活動にも集中して取り組むことができるようになる。
僕の孤独は、これに似ている。読書を続けていると、なんだか読書に集中できるようになり、いつの間にか孤独感には慣れている。これは、僕が20年間、本当にボッチで孤独に過ごしてきたことも、関係があるのかもしれない。
故に、「寂しい」という人の気持ちも、僕はある程度理解できるつもりだ。いや、理解できるは盛ったな。わかった気になれるかもしれない、というレベルだ。
僕は、貴方が感じているような孤独を心の底から理解することはたぶんできない。会話して言葉を重ねてみなければ、相手の抱えている闇が見えてこない。闇の深さが分からなければ、相手の持っている光にも気が付けない。
孤独を感じる夜は、いつもこんなくだらないことを無限ループのように考えている。これは、僕だけなのかもしれないが。
孤独と淡々と向き合う夜、嫌いなはずの時間だが、文字にしてみると何ともちっぽけなモノだなと、思ってしまった。
だって、文字にしたら1000文字程度でしかないんだから。悲しいような、むなしいような。そんな気持ちになりながら、僕はこのエッセイを仕上げている。
貴方の夜は、どうだろうか。孤独に否まされて、悩んでいないだろうか。
どうか、普段通りの落ち着ける夜を過ごしていることを小さく願っている。