リカバリー段階から知った葛藤の必要性~めっちゃ勉強になる作業療法の世界7~
精神障害による生きづらさについて、話を聞きました。「精神障害の」とのことですが、内容的に多くの人にあてはまるように思いました。
生きづらさとは
生きづらさとは、文字通りの意味ですが、生きることが辛い、生きるうえでの制限や周囲の偏見により耐え難い苦難を持っている状態です。わたし自身は生きづらさを経験していません。
生活のしづらさとは
生活のしづらさはどうでしょう。日常生活、対人関係、地域生活などで、生活の行為が難しくなる状態です。わたしも何度か経験しました。2年前に記憶喪失になった時、怪我等で思うように体が動かなかった時です。家族に悩みがあった時も生きづらさではなく、生活しづらさだったように思います。
働きづらさとは
企業のダイバーシティについて考えるとき、働きづらさが課題になります。子育てと仕事の両立において、時間の制約や役割の負担で、仕事で能力の発揮がしづらいことがあります。わたしもありました。病気で時間制約があった時、自宅と職場が遠かった時、空調が寒すぎた時などですね。
人それぞれに辛さを感じますが、最もつらいのは生きづらさです。早くリカバリーして、辛さのない、または少ない状態にしたい。
作業療法では生きづらさから3段階のリカバリーがあるそうです。
リカバリー段階Ⅰ
エンパワーメントへの初期の方向づけです。(どうやっての話は割愛)
この段階では、精神疾患の発症により主体性を喪失し、生きにくさの葛藤を深めた状態から始まります。支援者らとの出会いによってエンパワーされ、かすかな希望を持つことができ、前へと歩み始めます。
リカバリー段階Ⅱ
自己決定による新たな生き方の方向づけです。今居るところから新しい方向に自分の道を歩み始めます。守られた環境の中で自身の生き方を模索し、選択する中で、自分の生き方を方向付ける段階です。回復への確かな希望を持つようになります。
リカバリー段階Ⅲ
社会の一員としての自覚です。他者や広い意味で社会と繋がり、関係性の回復、社会参加の手ごたえを得ます。
ここでのポイントは、精神障害による生きづらさを抱えながらもリカバリーの段階を歩むことです。
俯瞰的に見ると、この3段階(別の説では4段階あるようですが)は、働きづらさの回復にも共通しているように思います。
葛藤→行動を起こす→自己決定→社会とのつながり
生きづらさの葛藤、生活のしづらさの葛藤、働きづらさの葛藤。
葛藤がリカバリー段階のスタートです。葛藤のないリカバリーはない、と言えそうです。
ジェンダー、両立、外国人など働きづらさ問題も、葛藤を感じることがないまま次のステップに進もうとする(往々にして他者から進まされる)と、なぜ支援者が現れるのか、どうやって自分の生き方を決めるのか、悩むことになります。
女性だということが仕事に影響していると認知し、そこに制約や制限が存在している(あるいは自分でつくっている)ことを理解し、それを受け入れたり見ないふりして生きることで違和感を持たないままでは、葛藤が生まれません。葛藤がないのに、メンターをつけるだの、キャリアアップの道をつくるだの言われても前進できない、という風にも考えられます。
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異業種で学ぶことは、新しい知識を吸収することと、さらにそこで自分が何を感じるのかが面白い発見です。
しらんけど