NHK「平成ネット史(仮)」が面白い

▼NHKの「平成ネット史(仮)」が面白い。

再放送は今後予定されていないようだが、録画して前編を見た。30代以上の人と、30代以下の人とで、この番組の見方がまったく違うだろうことも面白い。30代以上の日本人にとって、これまでの自分の人生の時間軸を補正する手助けになるかもしれない。

▼YouTubeが誕生したのが2005年。この文章を読んでいる人のなかには、大人になってからYouTubeを初めて知って、好きな分野の動画を延々と見てしまい、気づいたら朝になっていたという経験のある人も多いだろう。

個人的には、映画の予告編が何百本も、映画館に行くことなく、ジャンルも配給会社も関係なく、好きなだけ見られるようになったことが驚きだった。

たとえば映画「コンフィデンスマンJP」の予告編がきょう「公開」されたが、この「公開」が意味するところは、映画館で見られるようになった、ということではなく、YouTubeで見られるようになった、ということを、昭和時代の人に説明して、わかってくれるだろうか。ほとんどSFのような、夢のような世界ではなかろうか。

▼2008年の秋葉原で起きた通り魔殺人事件で、事件の当日、現場の映像がいくつもアップされていく様子が衝撃的だった。

iPhoneのおかげでそうした質量ともに桁違いの、ピンからキリまである動画が、手のひらの上で見られるようになったことも革命的だし、20年前にはこうした出来事は「何もなかった」ことも、もはや想像できない。

平成の30年間でインターネットが社会に起こした「変化の意味」は、今生きている人間にはわからないのかもしれない。100年後にはわかっているのかも。メディアの価値について、常識の更新について、いろいろと考えさせられる密度の濃い番組だ。

(2019年1月16日)

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