ブルーライトカットメガネの効果がない理由。メガネよりも”夜”に気をつけろ!
ハイライト
・実は、ブルーライトの危険は1976年から提唱された古い概念。
・ブルーライトの目への悪影響は太陽光よりもずっと低い
・米国眼科学会の2018年のレポート:ディスプレイの使用で失明が引き起こされることは絶対にありえない
・ブルーライト防止メガネは、ほとんど意味ナシ!
・夜スマホだけは気をつけろ!
■そもそも、ブルーライトってナニ?
http://blue-light.biz/about_bluelight/より引用
ブルーライトとは、波長が380~500nmの青色の光を指します。光のエネルギーは波長が短いほど大きいので、リンク元記事でもある通り”可視光線”の中では、最も強いエネルギーを持つ光です。
今まで使われてきた電球や白熱灯は、100年にわたって人に明かりを提供してきました。これらに含まれる波長は、非常に太陽の光に似た性質を持ちます。一方、スマホやPC、タブレットのディスプレイに搭載されているLEDは低エネルギーでエコな性質をもつものの、ブルーライトが多く含まれています。
ブルーライトは目にダメージを与える!と
メガネメーカーを中心とした利益関係者たちは主張しています。
しかし、光に少しでも知識がある人ならご存じの通り、私たちの身の回りには、ブルーライトよりもはるかにエネルギーの強い紫外線が太陽から降り注いでいます。紫外線が降り注ぐ地球で育ってきた私たちにとって、ブルーライトは悪影響を与える光となりうるのか・・・?それは大きな疑問です。
・ブルーライトが本当に私たちの体に悪影響を与えるのか?
・ブルーライトカットメガネをかける意味は本当にあるのか?
・ブルーライトに気を付けるべきポイントはあるのか?
今回は、3つのポイントを明らかにしていきます。
広告に踊らされて無駄なお金を払う前に、読んでおいて損はありませんよ!
■100万本を1年で売り上げたJINS PC
ブルーライトカットメガネNo.1を掲げるJINS PCは発売1年で100万本以上を売り上げる大ヒット。「2012年ヒット商品ベスト30」でも6位にランクイン。さらに、2015年には累計売上700万本を突破した最強のメガネです。他のメーカーもそのトレンドに引き続いてどんどんブルーライトカットメガネをラインナップに加えています。
これだけ市場を席巻する大ヒット商品ですから、さぞかし目に良いんだろうなぁ。と思えます。
でも、ブルーライトが太陽から降り注ぐ紫外線よりも弱いのは事実。実際にヒトの目にどれだけの影響を与えるかは、メーカーHP”ブルーライトが私たちの眼に及ぼす影響”をみてもサッパリ書いてありません。
そこには、ブルーライトがいかにも恐ろしい光であるようなことは書かれていますが、”肝心の情報”が書かれていません。
・視力や目の疾患
・ブルーライトカットしたときとしていないときの比較データ
・精神状況への影響
本当に知りたい情報はゼッタイこれらの情報なハズなのに、全然書いてない。これっておかしいじゃないですか。
だから、真剣に調査してみました。
■ブルーライトで失明することはほぼあり得ない。
2016年のPublic Health Englandによる研究では、PC、スマホ、タブレットの画面を最大輝度に設定して、一番明るい真っ白な画面でのエネルギーを超近距離で測定しました。
その結果、冬の曇りの日に降り注いでいる光よりも、ディスプレイの光は圧倒的に弱いことが判明しています。ある程度長期間の使用でも、目に関する異常を引き起こすほど強い悪影響はないという結論が示されました。
米国眼科学会の2018年のレポートでは、
「ディスプレイの使用で失明が引き起こされることは絶対にありえない」
「Absolutely not」
と述べられているほどです。
今後のデータによっては、いくつかの眼科疾患へのブルーライトの影響が示される可能性もあります。しかし、実はブルーライトの概念は1970年台から提唱されている古い概念。2020年までの50年間影響が明確に示されていないブルーライトを極端に怖がる必要は本当にあるのでしょうか?
ただし、子どものブルーライトへの暴露は注意した方がいいでしょう。子どもの場合は角膜表面から網膜へのブルーライトの透過率が高く、100%安全とは言い切れないといわれています。したがって、長期間の使用や、目からの距離が10cm以下など近くの場合は注意が必要です。しっかりサポートしてあげましょう。
■ブルーライトカットメガネなんてほとんど意味ない
2017年にロンドン市立大学からブルーライトカットメガネについてのシステマティックレビューが行われています。システマティックレビューとは、ある分野に関する研究データを総ざらいして、その時点での結論を導き出す研究。ブルーライトカットメガネに関する研究は決して多くはありませんが、その中ではかなり信用度の高い研究と言えます。
その結果導き出された結果がコチラ
・レンズの種類による見え方の違いはない
・PCで2時間作業した後の眼精疲労に違いはない
・ブルーライトグラスは特に参加者の満足度も上げない
・睡眠の質は若干ブルーライトグラスの方が高くなる
したがって、睡眠の質以外に関しては、ほとんどブルーライトカットメガネをつける意味がないといえます。
ブルーライトカットしたいのって、目の疲れ=眼精疲労やPC作業に伴う頭痛を防ぐためじゃないですか。でも、これらについてほとんど効果がないなら、あえてお金出してメガネかける必要ありますかね・・・?
もちろん、統計をとって平均値を導き出した結果ですから、ヒトによっては効果がある!(思い込み?)かもしれませんが、僕は推奨しません。
■睡眠の質にだけは気をつける必要アリ!
ブルーライトで一番気を付けるべきポイントは、『睡眠の質』です。
ブルーライトは人間の睡眠を司るホルモン:メラトニンの分泌に悪影響を与える可能性についてかなり研究が進んできており、夜間のスマホやPC使用はできるだけ避けるべきだと考えられます。
2017年のサムスンの研究機関による研究では、ブルーライトによる睡眠への悪影響が分かりやすく示されています。
・ブルーライト有り/ 無しの2つのグループに分ける
・PM 7:30~ 10:00までの150分間にわたってスマホを操作
その結果、
・眠気が中程度減少(d=0.49)
・精神的混乱が中程度増加(d=0.53)
・眠気ホルモン”メラトニン”レベルの上昇に時間を要するようになった
つまり、ブルーライトを浴びていると、睡眠の質はかなり低下してしまうのです。
寝る前のスマホは睡眠の質にかなりの悪影響を及ぼしてしまうことが明らかになっています。したがって、寝る前はできる限りスマホは使用しないことが望ましいでしょう。
夜間モードにすればブルーライトは減らせるので、多少スマホによる悪影響を緩和できるかもしれません。少しでも予防しておくべきです。とはいえ、夜の長時間スマホは悪影響を及ぼす可能性が高く、やはり避けるべきでしょう。
まとめ
視力や目への悪影響という点では、ブルーライトを過度に心配しすぎる必要はありません。もちろん、ずーっと目を酷使していること自体は目への悪影響がある為、20分に20秒間、6メートルくらい遠くを見るなどの防衛策は必要です。(20-20-20ルール)
そして、ブルーライトカットメガネをかける意味はほとんど無いと言えるでしょう。
しかし、気を付けるべきは寝る前のスマホ。睡眠状況を悪化させる可能性はかなり高いので、寝る前は夜間モードにするなど、最低限の予防策は講じておかないと、仕事のパフォーマンスもガタ落ち...かもしれません!気をつけましょう!!
引用
https://www.aao.org/eye-health/news/smartphone-blue-light-is-not-blinding-you
O'hagan, J. B., M. Khazova, and L. L. A. Price. "Low-energy light bulbs, computers, tablets and the blue light hazard." Eye 30.2 (2016): 230.
Lawrenson, John G., Christopher C. Hull, and Laura E. Downie. "The effect of blue‐light blocking spectacle lenses on visual performance, macular health and the sleep‐wake cycle: a systematic review of the literature." Ophthalmic and Physiological Optics 37.6 (2017): 644-654.
Heo, Jung-Yoon, et al. "Effects of smartphone use with and without blue light at night in healthy adults: A randomized, double-blind, cross-over, placebo-controlled comparison." Journal of psychiatric research 87 (2017): 61-70.