三毛猫は月と恋に落ちて
目を合わせてくれないおとこが嫌いだったのは瞳以外にわたしをまともに語ってくれる場所がないからで、誰かの瞳の中以外にわたしをまともに生かしてくれる場所もないからで、そう、おたがいに虚空を見つめて話をしているあいだ、わたしはユウレイってこんな気持ちかしらって思ったりするの。
7秒見つめあえばひとは恋に落ちるらしい、それなら君に憎まれるためには何秒その瞳を奪えばいいんだろう、近所を歩く猫とじっと見つめ合う、かわいいね、でも近付いてきてはくれないし牙を見せてもくれない。
ダークブラウンの円は鼓動に合わせて収縮する、彼女は首輪をつけていません、それから、夜になると甲高い声で鳴くのです。自由で、孤独な、彼女のように、わたしは君に都合よく撫でられて、素知らぬ顔でひとり、ドラッグストアでシャンプーを買い替えたりしたいのです。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。