金木犀は永遠の香り
死ぬタイミングを間違えなければ永遠になれるから焦らなくていいよ、
永遠が君のかたちになることはないけれど、君が永遠のかたちになることはできるから焦ることないよ。
永遠は、世界一可愛くて世界一嫌いなあの子のかたちともまったく似ておらず、液体のふりをしてふくよかな土のなかに決して染み込まずに寝そべっている。
金木犀の木の下に埋まっているのは死体ではなくて永遠で、だから代替できない香りがするのだと思った、
永遠は適温になると土からゆっくりと起き上がって伸びた髪を切る、
蝉の抜け殻の不気味さを思い出す、
わたしは美容院があの子の次に嫌い。
(オーパーツとして生きていたかった)
(つまらない真実を話すひとを火に焚べたかった)
(タイミングを間違えただけだと言ってほしかった)
(永遠のなりそこないは夏を越えられないらしい)
(これもみんなただの噂で)
(噂話をする声の周波数で健やかな土は冷える)
(永遠はなまぬるい)
(永遠はやわらかい)
(触れたことはない)
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