長靴を捨てて六月を待つ
将来の夢はお嫁さんだって、言えなかったひとと言いたくもなかったひとだけに見える水たまりがあって、ただ見えるだけ、だからすっと、ほとんど意識もせずに避けるだけ、それだけ、見えないひとたちが走り抜けてはねた水が、光を受けて虹色に見えたりするだけ、ほんの少しすそにはねた水がやけに気になるだけ、それだけ。
「はやく紫陽花が咲いてほしい」
(雨なんかぜんぶあげる)
「六月の顔になっちゃいたいから」
(淡いむらさきいろのベールをかぶって)
きみがいない愚かさだけで庭の樹は育っていきます、わたし、自分の意志で花に水をやったことがなくて、そのことをきみに責められたかった、そういうところが嫌いだって、軽蔑されたかった、そうしたらやっとわたしはわたしを憎んだりできるのに、わたしはわたしの、責任を負えるのに。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。