ハローメアリー、おやすみリトルバグ
羽虫を殺したこと以外に、咎められることがあっただろうか。
夢に見る絞首台はピンク色で懺悔より怖くなかった。
いつも階段を上る前に目が覚めるから、わたしはわたしのことを少しも責めていないことが分かって、すこやかに起きる朝に昨日たらしたはちみつくらいの、ちいさなスプーン1杯分の不快感が残っている。
前世の名前はマリーじゃなくてメアリーだった(本当はエイミーが良かったけど、その名前は年の離れた妹に付けられた)こと、
つみびとの顔をするときわたしは明日食べられるはずのケーキのことを思い出していること、
歌えもしない英語の曲をでたらめに口ずさむときのわたしの声と、君を呼ぶときのわたしの声がおなじであるということ。
忘れてもいいことばかりを思い出して、覚えていなきゃいけないことばかり忘れる、
都合よく数えた罪の数は素数で、理系のひとと付き合ってみたかったことを思い出した。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。