だれにも歌われないクリスマスソング
わざと吐いたため息が白くなる、雪は降っていない、聴きたかった曲や歌いたかった曲がシャッフル再生で流れてきたときだけはカミサマも運命も信じちゃいそうになる、けれど、その瞬間に過去も未来も価値を失ってしまうから、音量をあげた、ロックスターもロックスターになれないぼくらもざっくり平等にいつかみんないなくなるけど、音楽も言葉も永遠だよ。永遠、えいえん、エイエン、子どものように繰り返す、絶対忘れないでね、って言って引っ越していったすぅちゃんの名前を、ぼくは知らなかった、確か、今日みたいな寒い日だった。
とくべつじゃないただの日、サンタもカップルも自分のことも、別に憎んでも恨んでもいないまま、ぼくらやり場のない怒りとどうしようもない寂しさだけを崇めている。
よく考えたら蹴り飛ばしたい奴なんてひとりもいなかったのに、愛してくれと叫べないから匿名掲示板でクリスマスツリーのてっぺんの星をころしてくれる人を探していた。七月八日に打ち捨てられたカラフルな紙切れを集めて燃やしただけじゃあったかくなれない、マイナス何度なのか教えてくれるスマートフォンをいつか捨てたいって、短冊に、書いときゃよかった。
手をつながなきゃ越せない、冬の街、近未来SFみたいに、光る機械が支配したらいい、伝説みたいな、永遠の、音楽だけが響いたらいい。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。