パラダイム・バレット
やわらかい鋭角の銃弾でてあしを順番に撃たれて、ぼくたちは整列した液晶におなじかたちに縫い合わせられる。
Hey Siri、ぼくは今、かなしいのでしょうか。どうせ整えるなら感情まで手にかけてほしい。
胸のおくの痛みや、腹のそこの疼きは、取るに足らない詩になって街を歩く、彼らみたいに自由になりたかった、ぼくたちをただの集合体に変えたひとたちは詩を読まない、銃弾をこめるあいだの鼻唄には、歌詞がない、自由というのは、さみしいものですか、ほんとうの、ほんとうは、何発撃ち抜かれたって平気な顔で駆けていたかった、銃口を向けられても笑いうたうだけの文学でありたかった、撃たれたてあしは痛くない、から、痛くないから、おそろしい。
ピストルをばらばらに分解してしまえるように秘密の本を読もう、周波数の合う歌をさがそう、誰も傷つけたくない、なんて嘘っぱちで、できれば全員少しずつ、愛しくなるくらいに傷つけてしまいたい、
向こう岸にぽつんと人影が見える、
Hey Siri、きみともできれば仲良くしたい、きみのつくる詩を聴かせてほしい、ぼくは、ぼくだけは、きみを泥棒だなんて言わないから。
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生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。