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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2022年5月の記事一覧

世界で0526番目に嫌いな歌

からだがぜんぜん動かなくって、眠ってばかりいたらもう日が沈んでる、子宮に身体も頭も振り回される、けど、ぜんぶそのせいにしたらわたしは自分でなんにも選べない馬鹿みたいで腹立たしい、
賢い頭とかわいいこころでちゃんと幸福を選びなよ、
幸福、幸福の、ほんとうのかたちがわからない、
傷つかないことを幸福って呼ぶの、正気じゃない、

その他のすべてを妥協しても愛を妥協したらわたしにつり合うだけのとびきりの幸

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架空の花にアルコールスプレー

1.74リットルの水、記憶を薄めるための水、アルコールの味がしなくてよかった、ハタチまでにいっぺん、家出をしとくべきだったねって、ミステリアス一辺倒で男の子の香水を割るひとに言われたかった、そんで、あぁ、そんなことしなくて、本当に良かったなって思いたかった。

夏の香りのしないTシャツ、ばかり着ていても勝手に夏は来るから悔しい、涙、サイダーの味でもしたら、きみは喜んでくれただろうか、そうしたら、い

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名前のない猫、名前のない木

蹲る猫の夢を見た
ことを誰にも話さない
ぬいぐるみでも
そうでなくても
猫には名前をつけたことがない
クーは犬で
耳の垂れたぬいぐるみで
もう年老いて
からだが薄くなっている
わたしの犬でないクー
わたしと眠ったことのないクー
夢に出てきたことのないクー

きみが木を植える夢を見た
赤い実のなる木だった
ことを誰にも話せない
小さな木の根元に
蹲るわたしの猫
わたしかもしれない猫