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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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2020年4月の記事一覧

ぼくらのセンチメンタル信仰

 
おだやかであれ、と、いうのは、くるってしまえ、ということだったし、くるってしまいたい、と、思うことほどやさしくて凡庸なことはない、終わらないものがないかわりにうまれたこと、奇跡だとも絶望だとも思ってやりたくなくて、だから永遠になってしまいたい。
永遠に、きみに干渉していたい、鑑賞されたい、音楽家よりも音楽になりたかった、詩人よりも詩になりたかった、画家よりも絵画になりたかった、恋をするよりも、

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満月はドーナツのむこう

 
 うちの満月の日のおやつは、手づくりのドーナツときまっている。

 これはだれにもヒミツにしなければならないことなんだけど、お母さんには、魔女の友だちがいるんだ。ふわふわの黒い髪をたずさえた彼女はアリサといって、満月の夜にだけうちに遊びにきてはうれしそうにドーナツをほおばって、ぺらぺらといろんな話をして満足げに帰っていく。
 アリサの話は、いつもおとぎ話みたいに不思議で、お母さんのこもりうた

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壊れないでねディスポーザー

 
もらったものを大事にできないまま捨てたりするので(燃えるゴミの日は火曜日です)
あげたいときになんにもなくってうろたえたりする(リサイクルはいいことだってペットボトルキャップが言ってる)
 

いつだって猫を抱くことより抱かれる猫をうらやましがったので、わたしなど、とうに端に追いやられていて、生活が部屋の真ん中で大きな顔で座っている。捨て猫にはなりたくないのよ、野良猫に、なれるほど、執着がない

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