デザイナー読書メモvol.16 2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日
ちょっとデザインとはズレるのですが、業務でアパレルに関するプロジェクトに関わっており業界を知るためにメンバーにおすすめされたこの本を読みました。たまに違う業界の話を読むと楽しいですよね…ましてやアパレルは私たちの生活に欠かせないものなので興味深く読めました!
この本の概要をまとめると?
2030年のアパレル業界の未来を、
・「成長する世界」と「停滞する日本」の現在を正しく理解する
・デジタル化によって起きる10の本質的変化
・AIの可能性
・世界のグローバル企業での9つの事例
・2030年の消費市場の変化
・国内アパレル産業はどう変化すべきなのか
といった視点から説明した本です。
この本から得た気づき
本を読んで気づいた点、面白いと思った点をメモします!
■デジタル化によって起きる変化の1つに、服作りにおけるデザインプロセスのサンプル作成のデジタル化がある。
具体的にはデザイナー作成の平面スケッチ→パタンナーがおこす立体のサンプルという工程を、シミュレーションソフトなどを用いることでより短くするということです。
企画から生産までのリードタイムの短縮が価値になりやすいファストファッションやZARAなどのグローバルSPAで実用化が進めているらしいです。
これはWEB業界においてもコーディングをせずとも画面上でデザインや操作性を確認できるモックアップツールの誕生と似ているなと思いました。
これからはデジタルの力で効率化できる箇所はどんどん仕事が淘汰されていくように感じます。
■世界の最先端事例「Reformation」エシカル×テック
サステナビリティ(持続可能性)なブランドコンセプト×テクノロジーを駆使したECサイト設計&試着体験作りで急成長を遂げた企業です。
商品にデッドストックや天然素材を使用。数量限定のための希少価値も魅力の一つに。ECサイトではその商品がどれだけ環境に配慮されているかの指標である、水の使用量、CO2の排出量、原材料の破棄量などの数値を見ることができます。
実店舗も構えており、主なユーザであるミレニアル世代以下の「店員に話しかけられたくない」という希望を叶えるために、試着時のサイズ変更や商品追加などは全てタッチスクリーンから行える。好みの音楽や照明を選ぶこともでき、快適に試着をするための工夫がされています。これぜひ体験してみたいですね。
■近年、アメリカのECにおける成長率上位50社の企業タイプを分析すると、8割以上がアパレルや化粧品を取り扱っている企業
新型コロナウイルスの影響もあってかオンラインで服や化粧品を買うこともかなり増え、今まで抵抗があった人でもこの機会にチャレンジした人も増えたのではと思います。
日本ではまだアパレル企業がデジタル化を進めている最中だと思いますが、アメリカを見る限りですとECで伸びていきそうです。
伸びている企業には2つのタイプがあります。
・ライフスタイル提案型
→消費者に新しい価値観やコンテンツを提供することが得意
・カテゴリーキラー
→嗜好性、専門性が高い特定の領域に特化し独自の価値を創出
こうした強いコンテンツを持つブランドが強くなる未来では、曖昧な企業は淘汰されていきます。日本ではアメリカと比較して中間価格帯のトレンド市場が大きく、このブランドたちがどうデジタル化に対応したり、新しい価値を提供していけるかが成長の鍵になると思います。
■日本の生地は海外で高く評価!しかし付加価値を与えられる製品・ブランド・デザイナーがあまりに少ない。
日本の生地の輸出額は、意外にも名だたるブランドのあるフランスやイギリスを上回り約3200億円。世界で高く評価されています。
しかし素晴らしい職人の技術があっても日本国内ではまだ生かし切れていない…。
海外でも勝負できる日本発のグローバルブランドを作っていくための1つとして、国立大学におけるファッション教育の強化があります。
ファッションデザイン分野の位置付けを国としてあげていき、かつ海外の展示会で必要なビジネススキルの教育も強化すべきという考えです。
これもやはり様々なデザイナーに通じることだと思います。クリエイティブはもちろん、ビジネスやコミュニケーションスキルを磨くことは、これからのよりグローバルになる世界ではかなり優位なスキルだと思います。
感想
このほかにも現在の日本における顧客の分析や、様々な事例を交えての説明がとてもわかりやすく知識がほぼなくても読みやすかったです!
アパレル業界の行方について知りたい人にはおすすめです。