夏嫌い、メガネ屋デビュー

合計1時間くらい鏡に向かってメガネを掛けたり外したり、店内をウロウロしていた。基本的に何に対しても優柔不断なきらいがあるので、本や服や化粧品を間に見ることでじっくり考える時間を稼ぎ、1人で4回くらい店を出入りした。小さい店だったし、店員さんに「あの客また戻って来たな......」と流石に思われていたかもしれない。

メガネ1本、6,050円(税込)。無職にとってはあんまり安い買い物でもない。じっくり考えてしまうのは許してほしい。

そもそも私がメガネ屋に向かった理由は、視力が落ちたので補うため......ではなくて、サングラスを買うため。


私は夏がすこぶる苦手で、毎年この暑さで死んじゃうんじゃないか?と真剣に命の危機を感じている。何度経験しても、ジリジリと容赦なく肌を焼いてくる太陽、息が吸えていない気すらしてくる熱風、どんなに薄着でもびしゃびしゃに流れる汗、全てに新鮮にやられる。100%ノックダウン。夏バテ常習犯。夏の兆しを感じた瞬間に「早く冬にならないかな」と願い始めるのも、もはや恒例行事だ。

関東の冬なんて、きちんと着込めば命の危機を感じることなんてまずないのに、夏になれば連日ニュースで「死にますよ!陽が出ているうちは外に出ないでください!水分と塩分をとってください!(要約)」と繰り返し伝えられる。本当に恐ろしい。あまりにも過酷すぎる。夏。

夏嫌い+無職+コロナ=引きこもり、の図式が見事に目に浮かぶ。

そんな中、先日「夏の暑さで頭が痛くなったり疲れやすい人は、サングラスをかけると改善するよ!」という、SNSでよくあるオススメ情報が目に入った。

ネットの海はどこかの誰かの真偽も定かでないオススメで溢れていて、いつもはスルーするのだけど、今回ばかりは飛びついた。確かに調べて見ると結構信用できそうな話だし、目から入ってくる紫外線でも日焼けするらしい。紫外線を吸収した分だけ律儀に黒くなる体質だし、夏を快適に過ごしたい!何より私は伊達メガネに興味があった。だってメガネ、かっこいいし!(裸眼で生きてきた人なら気持ちが分かるかと思う)


以上が人生で初めてメガネ屋に向かった経緯。雑貨屋などの手頃な物にしなかったのは、過去2回1,000円くらいのメガネを買ったらレンズがなんとなく歪んでいて、とてもじゃないけど身に付けたままで居られるようなものじゃなかったから。目の疲労が半端じゃなかった。

人生初の専門店での購入にビックリしたことが2つあった。1つは、店員さんがいっぱいいたのに、誰も長居している私に話しかけてくることはなかった。コミュ障が怯える必要なかったんだ。

次に、購入した後にメガネのサイズ?着け心地?を調節してもらえたこと。スゲ〜......カッコイ〜.......気分はハリー・ポッターで自分だけの杖を選ぶような、なんて......いや、大袈裟だったかもしれないが、とにかく「自分のために調節して誂えられたもの」というものに、大人じゃん!と口笛を吹きたくなるようなガキンチョ精神が沸き上がった。楽しかった。

とりあえずそのまま帰り道に着けて帰ったけれど、夏が生きやすくなるかどうかは今のところ不明だ。でもまあ、伊達メガネを掛けたいという欲も満たされたので満足である。嬉しくってこの記事を書いている今も、掛けちゃったりしている。


でもやっぱり、冬、早く来ないかな。

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