読書|縁結びカツサンド
この本も夏の読書フェアで発見した1冊です。表紙が可愛かったのと、食べ物にまつわる小説という事で手に取りました。商店街にある昔ながらのレトロ風パン屋さんのお話。
お客さんの悩みや問題も解決しながら、3代目の若き店主も自信をつけていくお話です。スーパーマン的な主人公じゃない所に、すごく好感が持てました。等身大の若者の悩みだったり、誰でも感じる不安。このままでいいのかな。変わりたいでもどこをどう変えたら?そういったものが心理描写として上手く描き出されているように思います。
癖のあるご近所さんや常連客も一緒になって、商店街や昔からのお店を守っていこうとする姿は、町おこしに近い物も感じました。ふと近所のパン屋さんに買い物に行かなくちゃ。家から自転車で数分のあるお店が頭に浮かびました。
誰の記憶の中にもきっとそんなお店1つや2つあるんじゃないかな。そこで食べれるココアパウダーがまぶされた揚げパン美味しいんだよなあ。あまりパン好きじゃないのに、時々食べたくなる味。値段も120円くらい?ほぼ値上げされてないのが、凄いです。ものすごく懐かしくもあり、ただこの味がずっと食べれる訳じゃない。今もずっと食べれるのに、何故だか郷愁を誘う味というか。お店がなくなって欲しくないのなら、たまには買い物に行かなくちゃね。
古いものと新しい物。変わるものと変わらないもの。変わって欲しくないもの。口だけで「応援してます」で済まされる時代じゃないのかも。消費者も変わらなければ、素敵なお店は生き残れない。洒落た目新しい店に浮気しても、結局は帰ってくる定番の味。こういう場所も、実はサードプレイスなのかも。何十年も地元でそんなものが食べ続けられたのは、ものすごく贅沢で幸せな事だった。改めて思う事も多いですよね。
スッと顔を出していつもの商品を買う、小粋な常連客に是非ともなりたいものですねぇ。