見出し画像

ミドルエイジクライシス〜中年期危機

女性は、一生の中で大きな決断をいくつも体験することになります。
結婚、出産、育児、介護などは最たるもので、選択次第では、背負うものも変わるため、迷いながらも、どれか一つを決断しなければならない局面が多々おとずれます。
当然、選択に悩む以上は、後悔はつきもの。
その後悔が、一気に押し寄せてくるのが”中年期”
中年期を襲う危機と、その向き合い方について考えてみたいと思います。

中年期は第二の思春期

中年期を語るには、Levinson,D(レビンソン)の存在は欠かせません。

アメリカの心理学者であるレビンソンは
「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」
と言いました。

ん?これはどういう意味でしょう。
少し説明してみますね。

発達期には以下のような4段階があります。
よく見ると、次の段階に移行する時期が5年ほど重なっているのが分かりますね。
この重なる時期を過渡期といいます。

1.児童期と青年期(0〜22歳)
  重複;17〜22歳
2.成人前期(17〜45歳)
  重複;40〜45歳
3.成人中期(40〜65歳)
  重複:60〜65歳
4.成人後期(60歳以上)

重なり合う5年の過渡期にはちょっとした特徴があります。
「内的世界」と「外的世界」の変化が起こり、これまでの”生活構造”の作り変えが行われるといいます。
もう少し詳しく解説しますね。

1.児童期と青年期(0〜22歳)

親や社会から守られながら生きる時期。

2.成人前期(17〜45歳)

さらに細かく5段階に分けています。

①17〜22歳
守られてきた環境から「自分で切り開かなくちゃ!」という自覚が生まれます。

②22〜28歳
可能性を模索して、大人の一員としてのアイデンティティを確立していきます。

③28〜33歳
可能性が開かれたと感じた20代から一転!
30代前後になると、20代はずいぶん暫定的だったことに気づき、可能性が閉ざされるような恐怖を感じて「今見直さなければ手遅れになる!」と焦りを感じる相当ストレスフルな時期となるそうです。
多くの人が、多かれ少なかれ無力感や、自分に対する無価値、自分が自分ではないような離人感を感じるようです。
そして、これまでの生き方を見直して、安定した土台を築こうと、もがくんだそうです。
(こんなところにいて、将来何になるんだろと転職を考えたりする時期と重なります)

④33歳〜40歳
迷いながらも、そうこうするうちに、自分が向かうべき道を定めていきます。
一家を構えて社会に地歩を固めたり、”葛藤の末に選択した道”をどんどん向上させていこうと励んで、人生の目標を追求していく時期を迎えます。

⑤40〜45歳(*成人中期と重なる時期)
ところが、人生半ばの過渡期に突入!
これまでの生活の、あらゆる面の点検、再評価を始めます。
自分の選択を信じて、突き進んできたものの、人生半ばを迎えて、これまでの自分の生活が、実は幻想に基づいたものであったことを知り、愕然とします。
幻想ではなく、本質を見極めることを迫られるようになるそうです。
まさに「中年期の危機」。
ちなみにレビンソン曰く、危機は8割の人が体験し、もがき葛藤するそうです。
ちょうど子どもに手が掛からなくなり、これまでないがしろにしてきた夫婦関係の課題が、クローズアップしてきます。

3.成人中期(40〜65歳)

「中年期の危機」真っ只中!
ちなみにレビンソン曰く、4つの対立(両極性)をある程度解決することが、この時期の課題であり、”自分らしさ”を確立するためには避けて通れないものだと言っています。
<4つの対立>
「若さと老い」
「創造と破壊」
「男性性と女性性」
「愛着と分離」

中年期は怒涛のような時期で、これまで確立してきた”価値観”や”考え方”が崩壊するような恐怖を感じるようです。
ところが、この時期の危機が解決されると、荒々しい暴虐さや、野心の執拗な要求から解放されて、嘘のように内面的な自由を持てるようになると述べています。

そもそも成人期は、能力と衝動がピークを迎えるといわれていて、「夢を持つ」ことと「大切な人や集団を信頼して、価値ある目標に向かって努力する」ことがとても重要だったのに、現実はもっとシビアで、理想と現実に大きな隔たりがあることに気づかされるのです。

そして、これまでの生き方を修正するのか、新しい生き方を獲得するのか、いずれにせよ数年に渡って苦闘することになるというわけです。

人生最大の危機を乗り越えた後は”最盛期”を迎え、50代後半から60歳頃までは、概ねとても安定した時期を送るともいわれています。

4.成人後期(60歳以上)

愛する人との別れを体験したり、社会から葬られるのではないかという恐怖感や、役割の喪失感から、過去への引きこもりが生じて、孤立化がすすむ時期。

それでも葛藤しながら、近づいてくる”死”を受容しつつ、新たな”生”への希望を獲得していくんだそうです。

きっと、死を身近に感じつつも、残された時間を精一杯生きよう!と、未来に希望を見出すのだと思います。

<参考資料>
https://ameblo.jp/counselling-jinmei/entry-11408620215.htmlhttps://careerconsultant-study.com/levinson/

人生の折り返しはゼロベースで考える

レビンソンを参考に見ていくと、中年期の課題がすごくわかりやすいですね!

人生の折り返し地点となる中年期は、どうしても過去を引きずりがちですが、一度ゼロペースになってこれまでの人生の棚卸し点検が必要のようです。

ただ、少し修正も必要かもしれません。
レビンソンが活躍した時代は戦後ですから、その時代に比べれば平均寿命は伸び、結婚年齢も、出産年齢も、そして定年を迎える年齢も延長されました。
それに、子どもが自立していく年齢も延長していますからね。

なので、上記で示された発達課題も、対象年齢が延長されているように感じます。
そう考えると「中年期の危機」とは、40代後半から50代に相当するのかもしれません。

いかがだったでしょう。
中年期は、思春期以上にアイデンティティが揺らぐ時期。
この揺らぎにどう立ち向かうかで、残りの人生が大きく違ってくるんだと思います。

なので、悩み多き中年期の皆さんは、何も特別なことではない。
「これが普通なんだ!」
と思っていただき、これまでの人生を再点検して、残りの人生を実りあるものに仕上げていきましょう!

鶯千恭子(おうち きょうこ)




いいなと思ったら応援しよう!