自分の感情に気づかない人は他人の感情に気づかない
人の感情に気づかない人がいます。
感じにくいわけじゃないのです。
感情はあるのです。
むしろありすぎるくらいある。
それなのに、他人の気持ちに気づかない。
こういうタイプの人について心模様を理解し、関わり方を考えてみたいと思います。
感じやすいのに気づかない
ちょっと不思議な感じがしますよね。
敏感なのに気づかないなんて。
そんなことあるのかな?と思うかもしれませんが、あるんです。
敏感ということは「感じやすい」のです。
ところが、自分の感情に疎いといいますか…自分の感情に気づかないのです。
どういうことかというと
「あ、私は今、不安なんだ」
「あ、私は今、怖がっているだ」
「あ、私は今、怒っているんだ」
という具合に「今の自分の感情」に気づくことができないのです。
そして、容易に感情の渦にすっぽりとはまってしまうのです。
これは「生まれ」か「育ち」かといわれるとその判断は難しいです。ですが、私は育ちの影響が大きいと感じています。
不安や恐怖にさらされることが多い環境で育ったのか、はたまた身近にいる大人を見本にして大きくなった可能性はかなり高いと感じています。
詳しい理由は別途ということで、さらにもう一つ。敏感なのに自分の感情に気づかない人の共通があるのです。
他人の感情にも気づかない
自分の感情に気づかない人は、他人の感情にも気づきにくい特徴があります。
感情は少し「冷静」になって振り返った時に「考える」ことで見えてくるものです。一瞬で沸き起こるものですが、ひと呼吸置くことで認知できるのです。
つまり、いくら感じやすくても、ひと呼吸おくことが出来るかどうか、ここがカギ。
感情が暴走を始めても、深呼吸して落ち着かせることを学べるか、取り扱えないというハンディを負うか。
ハンディを負うと、冷静になることも、深く考えることも、極端に不得手になります。
しつこいようですが、このハンディは生まれつきのものではありません。学習で身につけるものです。
その結果、考えずに極端な言動に突っ走るのです。
いや、考えていないというのはちょっと違うかな。
考えているのです。
いるのですが、その範囲はとても狭く、考え方の手順も、行動も一つのパターンを築くのです。
私を不安にさせる要素を「取り除きたい」
私を怖がらせる要素を「一掃したい」
私を怒らせるものを「排除したい」といった感じ。
関心は、常に「不安要素」と「自分」に向き、「ポジティブな要素」には見向きもせず、相手の立場に立つこともできない、となるのです。
いつも心の余裕をなくしている
これでは、相当疲れます。
想像してみてください。
小さな不安要素を、見落とすことなく常にパトロールし、それに加えて自分を客観視できないわけですから、世の中はなんて生きにくいんだと感じることになりますよね。
小さいうちであればいくらでも修正できますが、そのまま長年に渡って生きてきてしまうと、よほどのことがない限り(生きるか死ぬかというような最大のクライシスに遭遇するなど)気づくことは難しくなります。
ただ、気づくことができれば、変えることができるというのも事実。
但し、相当な努力を必要としますので、自力ではなかなか困難で、親身になって手助けし続けてくれる人と出会えるか否かが、分岐点となるのです。
関わる時に大切にしてほしい事
先日、久しぶりにこういうタイプの方に出会いました。
年齢は、定年間近と思わしき女性です。
特徴が際立っていてとてもわかりやすく、ある意味新鮮でしたが、管理職の立場でもいらっしゃるので、一緒に働いている人はいつも緊張を強いられて大変だろうと察しがつきました。
こういうタイプの人と関わる時は、いくら客観的な視点を説いても、焼け石に水です。
だからやめた方がいいです。
それよりも「あなたの不安要素を取り除いてあげますよ」と提案するように話を進めた方が、聞く耳を持ってくれます。
どうしても避けられない関係であれば尚のこと。
「何を怖がっているのだろう」と冷静に観察して、カラクリを解いていくことが突破口を見つけやすくなります。
大切なのは、決して相手の感情に巻き込まれないこと。
大きな民間組織であれば、人事評価でその実態が明らかになり、改善のチャンスが訪れることもありますが、小さな組織や公的機関だとそうはいきません。
ましてや、定年が近い人となれば、さらに厄介です。
事なかれ主義に傾き、自分の職責よりも保身を第一に考えてしまうので、問題が起こった時にその力のなさが露呈し、周りが大変困るという事態に陥るからです。
その場合は、自分に力をつけるチャンスとしてぜひ生かしてください。
人間洞察のスキルをアップさせるいい機会だと捉えるのです。
そして、自分が感情に揺れやすいタイプだと自認している人は「目的」はなんだっけ??と自分に問いかける"癖"をつけるのです。
そして、巻き込まれずに「目的」を果たすための「対処技術」を磨くのです。
新社会人の皆さん。
世の中には、なんとまあいろんな人がいることだろうと驚くでしょうが、どうか楽しんで。
感情を暴走させる人に出会ったら、合言葉は「一歩引く」。
そして「深呼吸」です。
ぜひ頑張ってくださいね。
鶯千恭子(おうち きょうこ)
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