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Photo by
niho_iida
トイレを基地にしたい。
昨日、自宅で傑作漫画『ドロヘドロ』を読んでいたら、あることを思い出した。
子どものころ、トイレに行くたび、こういうマンガや文庫本を持っていったことだ。
今では清潔さが気になってしまい、そんなことはしなくなった。
しかしそこには大人になって失った、大切ななにかがつまっていた気がした。
そして考える。
一人暮らしをしている今なら、好きなものをもっていけるではないか、と。
まず考えたのは本棚だ。
雑誌やマンガ、小説の置かれた密室。
それは妄想するだけでも垂涎物だった。
そういえばトイレに籠もっているあいだは、なぜか創作のアイデアが浮かびやすい。
ということで何か書ける位置に、机になるものがほしい。
そして小さな部屋は音がこもりやすいので、スピーカーで音楽やラジオなんかが聴けるといいかもしれない。
気になる事があってもすぐに調べてトイレに集中できるように、ノートPCがあればいい。
お腹をくだしたときの長期戦に備えて、モニターを壁に取り付けて、FireTVを接続し、アニメや映画を観れるようにする。
突然の便意でゲームを中断してしまっているかもしれないので、今度発売されるプレイステーションのリモートプレイ専用機なんかもほしい。
夏場は暑いので、サーキュレーターをもちこむ。
冬の冷え込みのために、電気ヒーターも欠かせない。
水分を放出するので、きっと喉が渇くだろう。冷蔵庫も置く。
最後に、長い時間便座に座っているのは、体にあまりよくないと思うので、便器そのものを板か何かで覆って椅子のように加工する。
これだけやれば、『僕の理想のトイレ』は完成するだろう。
そして僕が忘れかけていた大切ななにかを取り戻すことができるはずだった。
さっそく作業にとりかかりたいと思う。