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保育園での「O157」集団感染 感染ルートは
東京都によると、世田谷区内の保育園で、9月17日までに園児10人が、腸管出血性大腸菌O157に感染していることが確認されたとのことです。
事件の概要
報道によると、感染者は 1歳児が4人(男児 2、女児 2)、2歳児が6人(男児1、女児 5)で、いずれも軽症ということでした。
また、園児と同じ食べ物を食べた職員は感染しておらず、保健所は、食中毒ではなく、おむつ交換やプール遊びなどが原因の可能性があるとみて、くわしく調べているということです。
つまり、保健所は食中毒の可能性は少ないく、ヒト→ヒト感染と考えているようです。
集団食中毒の可能性は低い
保健所が食中毒の可能性が低いとしたのは、報道によると
「今月10日、医療機関を受診した園児1人の感染が分かり、保健所が調査したところ16日までに新たに9人の感染が分かりました。
① 園児と同じ給食を職員も食べていました
園児と同じ給食を食べていた職員の中に感染者はいませんでした。
園では先月末までプールでの水遊びを行っていたことから、保健所は、プールやその際のおむつ交換などで感染が広がった可能性もあるとみています。」(テレ朝ニュースから)
② 他のクラスへの感染は広がっていない
他の記事を読み比べてみました。
日本海テレビ(2021.09.18 01:21)によると、
「1歳から2歳までの園児10人の感染が確認されたということです。
10人は同じクラスで、9人が軽症、1人が無症状でした。
他のクラスへの感染は広がっていないということです。」
というように、患者は特定の一クラスに限定されるようです。
本当にヒト→ヒト感染なのか?
ところが、ツイッターを見ていると、「感受性の高い園児のみの集団食中毒もありうるのでは?」という投稿を目にしました。
真実はどうなのか。以下、私の感想です。
保健所の見解では、園内の空間的に偏った場所で感染が起きていると捉えているのですね。
このような場合は、先行して発症した患者が存在するはずなのですが特定できたとは公表していません。
食中毒の可能性ですが、「感受性の高い園児のみが感染した」という可能性も、食品の一部分だけが汚染されていたという可能性も捨てきれないと思いますが、処分が絡む場合は疑わしきは罰せずという大原則もあります。
これが、もしも再発や拡大の可能性がある場合は、当然、安全優先で対処されると思いますが…。
集団感染症のケースは感染経路が特定されにくい
常に思うことですが、集団の感染症のケースで、その感染経路が疑問の余地もなく判明できるというのは滅多にないですね。
特定の個人をあぶり出した場合、それが間違いの可能性は常に付きまといます。いつも思うことですが、「神のみぞ知る」です。
保育所での集団発生の予防のために
一般に、感染症が発生するためには、以下の三つの要因が必要と言われていますが、保育所にはその要因がそろっています。
① 病原体を排出する「感染源」 = 園児
② 病原体が伝わり、広まるための「感染経路」 = 園児や保育所での生活
③ 病原体に対する「感受性」が存在する人 = 園児
厚生労働省は保育所における感染症を予防するためのガイドラインを作成しています。以下に、ガイドラインの内容の一部を抜き書きしてみます。
保育の専門家である保育士さんの力が、最も必要とされていると思います。
(保育所における乳幼児の生活と行動の特徴)
・集団での午睡や食事、遊び等では子ども同士が濃厚に接触することが多いため、飛沫まつ感染や接触感染が生じやすいということに留意が必要である。
・特に乳児は、床をはい、また、手に触れるものを何でも舐めるといった行動上の特徴があるため、接触感染には十分に留意する。
・乳幼児が自ら正しいマスクの着用、適切な手洗いの実施、物品の衛生的な取扱い等の基本的な衛生対策を十分に行うことは難しいため、大人からの援助や配慮が必要である。
(保育所での集団発生の予防)
・手洗いの励行や簡易プール使用時における衛生管理が重要である。
◇ 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf
◇ 腸管出血性大腸菌による感染事例(食中毒を除く)/(今日の疑問 2022/09/28)
http://shokuei.sblo.jp/article/189836781.html