大月書店通信*第122号(2019/3/28)
「大月書店通信」第122号をお届けいたします。
「女性活躍」がうたわれ、「女性差別は過去のもの」という雰囲気さえあるなかで発覚した東京医科大学の不正入試事件は、さすがに驚きでした。
これほど露骨な女性差別に対しては、大きな批判が巻き起こりましたが、「女子力」がもてはやされたり、性差別的CMが流されては炎上する事態を見ると、日本社会に深く根づく問題を、あらためて考えさせられます。そして、それが乗り越えられない歯がゆさも感じます。
3月の新刊『日本のポストフェミニズム――「女子力」とネオリベラリズム』の著者は、学問であり、運動でもあり、異種混淆性をもつフェミニズムにおいては、「内的な論争が起きうるし、起きるべき」だとして、「対話と論争、対立をおそれないどころか、あえて求めるフェミニズムにこそ、私は意義があると信じている」と言います。
本書をきっかけとして、対話と論争が生まれ、それが社会を変えていく力になれば、と願っています。
■新刊案内
3月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。
●対話と論争を呼び覚す新時代のフェミニズムへ
『日本のポストフェミニズム――「女子力」とネオリベラリズム』
菊地夏野[著] 2,400円(税別)
ナンシー・フレイザーの批判を真摯に受けとめ、英米のポストフェミニズム論を読み解き、日本社会の「ネオリベラル・ジェンダー秩序」を理論的かつ具体的に考察する。
●《シリーズ完結》無視されてきた人びとの声を届けるために
『非暴力の人物伝 5 平塚らいてう/萱野茂――女性・先住民の権利をもと
めた人びと』
濱野京子・寮美千子[著] 1,800円(税別)
『青鞜』を通じて女性の自立をうったえ、平和運動にも尽力した平塚らいてう。アイヌ初の議員として国会で演説し、先住民の文化と権利を守ることにつくした萱野茂。女性やマイノリティの政治参加の先駆けとなった2人の伝記。
●《シリーズ完結》しくみやルールを知って音楽を楽しもう!
『音楽のあゆみと音の不思議 3 古典派から現代の音楽』
『音楽のあゆみと音の不思議 4 音楽のしくみとルール』
小村公次[著] 3,000円(税別)
第3巻は、古典派から現代までの音楽史。作曲家が自分の考えを表現しだすのは近代のこと。レコードやラジオ、ジャズが誕生した現代。未来はどんな音楽に?
第4巻は、音楽のしくみについて。音とは何か、音楽を記録する楽譜のルール、音階や和音のしくみ、フーガやソナタなどの音楽形式に交響曲のしくみなど、楽しく音楽を味うための基本ルールを解説します。
●LEDでレタスを作る、センサーで甘さを測る
『科学がひらくスマート農業・漁業 2 野菜とフルーツを工場でつくる』
『科学がひらくスマート農業・漁業 3 肉とミルク、卵をつくる新技術』
小泉光久[著] 寺坂安里[絵] 各2,600円(税別)
2-中野明正・河合義隆[監修]3-桑山岳人・岩田尚孝・白砂孔明[監修]
第2巻は近未来の野菜とフルーツ作り! 太陽光やLEDの光と、土のかわりに養分が溶け込んだ液体を使って、工場のなかでレタスやイチゴなどの野菜をつくる「植物工場」を紹介します。
第3巻は、近未来の酪農。牛の飼育や乳しぼりの機械化、三元豚などのブタの品種改良の技術など、最新技術の数々を図や写真を使って紹介していきます。
●特集=教師になったあなたへ 2019
『月刊 クレスコ』4月号 no.217 476円(税別)
この春から教師になる方たちに向けた、毎年好評の特集。●教師として生きるあなたへ(中嶋哲彦)●先輩からのメッセージ●先生の仕事アドバイス(学級づくり/授業づくり/教師の学びと成長/部活動 ほか)●教職員の権利一覧
■お知らせ
★noteでの記事発信を開始!★
note に大月書店の公式アカウントを開設し、記事の配信を始めました。
4月刊行予定の新刊『社会を変えようといわれたら』(木下ちがや著)の一部を先行公開しています。今後も様々な情報を掲載していきますので、こまめにチェックしていただけますと幸いです。
■イベント
★《明日》「戦争と労働」学習会★
アジア・太平洋戦争中、軍需産業に動員された人々の置かれた環境や働き方はどのようなものだったのか。2月刊行『「産業戦士」の時代――戦時期日本の労働力動員と支配秩序』の著者・佐々木啓さんを講師とする学習会です。
日時:3月29日(金)18:30~
場所:全国教育文化会館(エデュカス東京)5階会議室B
参加費:500円(学生無料)
主催:旬報9条の会
※お問い合わせは主催者にお願いいたします。
佐々木 啓[著]『「産業戦士」の時代――戦時期日本の労働力動員と支配秩序』4,200円(税別)
★《明後日から》福祉国家構想研究会「安倍政治をどう変えるか?」★
前号でもお知らせした福祉国家構想研究会の公開連続講座が、明後日から始まります。
「安倍政治をどう変えるか?――日本社会の危機に立ち向かう政策と構想」
☆第1講:3月30日(土)13:30~17:00
改憲を阻んで憲法の生きる日本を――憲法・安保・沖縄政策論
講師:渡辺 治(一橋大学名誉教授)
☆第2講:5月11日(土)13:30~17:00
労働・貧困問題と安倍政治――中長期・短期の対抗構想
講師:後藤道夫(都留文科大学名誉教授)
中澤秀一(静岡県立大学短期大学部准教授)
蓑輪明子(名城大学准教授)
☆第3講:6月1日(土)13:30~17:00
地域政策と安倍政治――地域経済の活性化、医療・介護保障と町おこし
講師:岡田知弘(京都大学大学院教授)
岡崎祐司(佛教大学教授)
関 耕平(島根大学准教授)
☆会場:林野会館(東京都文京区)
☆資料代:各講座500円
☆事前申し込み不要
☆主催:福祉国家構想研究会
※お問い合わせは主催者にお願いいたします。
渡辺治・福祉国家構想研究会[編]『日米安保と戦争法に代わる選択肢――憲法を実現する平和の構想』2,300円(税別)
◆後藤道夫・中澤秀一・木下武男・今野晴貴・福祉国家構想研究会[編]『最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし――「雇用崩壊」を乗り超える』2,000円(税別)
■編集後記
昨年末になんと料理教室に入会しました。下手の物好きではありますが、料理が週末での自分の息抜きの一つになっています。コーヒー生豆を焙煎してドリップしたり、ひき肉・玉ねぎ・セロリから作ったミートソースを、パスタにだけでなく、ずっと気になっていたベーカリーへ車を朝から走らせ、そこで買ったバケットにのせてみたり。次はパン作りだ! とか。料理は成長や健康のためだけでなく、優れたコミュニケーションツールです。(TH)