【大月書店通信】第168号(2023/1/27)
国連の核兵器禁止条約が発効して1月22日で2年。すでに92か国が署名し、批准に後ろ向きな日本政府の姿勢が問われています。
この2年のあいだにロシアのウクライナ侵攻があり、日本でも敵基地攻撃能力など軍事的緊張を高める流れが強まっていますが、別の道もあることを絵本『核兵器をなくすと世界が決めた日』は伝えています。
核兵器禁止条約は、広島・長崎や世界中の核汚染地のヒバクシャの声をグローバルな平和運動が受けとめ、北欧やコスタリカといった小国を中心とした外交努力の結果、国連で採択されました。
大国どうしの駆け引きや抑止力=威嚇ではない平和のつくり方があることをお子さんたちにも伝えていただきたいと思います。
「2021年に発効した「核兵器禁止条約」作ったのは国や政府機関ではなく、平和を願う世界中の人々だった」(絵本ナビ)
【新刊案内】
1月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。
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●民主主義を再生する、足元からの挑戦
『地域主権という希望――欧州から杉並へ、恐れぬ自治体の挑戦』
岸本聡子[著] 1,760円(税込)
政治経験ゼロから杉並区長となった著者が、世界各地で起きている自治体からの変革=ミュニシパリズムの実例を紹介。新自由主義による地域経済と政治の劣化に歯止めをかけ、足元から公共と民主主義を再生する希望の指針を描く。
☆推薦☆
和田靜香さん(ライター、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいです
か? 国会議員に聞いてみた。』著者)
岡野八代さん(政治学者、同志社大学教授)
☆TBS「アシタノカレッジ」で能條桃子さんにご紹介いただきました。
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●耳が聞こえない・聞こえにくい子たちの日常
『障害があってもいっしょだよ! 5 聴覚障害のあるぼくの毎日』
マリ・シュー[文] イザベル・ムニョス[絵] 上田勢子[訳] 脇中起余子[日本語版監修] 2,200円(税込)
耳が聞こえない・聞こえにくい子どもはどんな毎日を送っているの?補聴器など生活を助けるいろいろな道具、遊びや勉強のしかたの工夫、ろう学校のようすなど、障害をもつ当事者への取材にもとづいて描かれた障害理解の絵本。
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●コロナ禍での学びをつくる教育実践の交流
『日本の民主教育2022』
みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2022実行委員会(高知)[編] 3,080円(税込)
毎年8月開催の「教育のつどい」。2022年は3年ぶりに現地開催した。ひきつづくコロナ禍と国連憲章違反のウクライナ戦争に直面して、子どもの実態や平和の尊さを語り、多様な授業・とりくみを交流し合った4日間の報告集。
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●特集=公共を住民の手に取り戻す――自治体の役割と責任
『季刊 自治と分権』冬号 no. 90 1,100円(税込)
首長インタビュー 平山富子(千葉県多古町長)/座談会「公共を住民の手に取り戻す」岸本聡子(杉並区長)、尾林芳匡(弁護士)、晴山一穂(専修大学名誉教授)、長坂圭造(自治労連)/ほか
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●特集=驚き!発見!実験・実習
『月刊 クレスコ』2月号 no.263 550円(税込)
コロナ禍により、子どもたちが直接ものに触れたり場を共有したりする学習がしにくくなり、体験よりもICT機器の活用を勧める機会も増えている。子どもたちが五感を働かせて学ぶ実験・実習の意義を考える特集。
【イベント】
★ 杉並区長・岸本聡子と語ろう!「地域主権」でつくるミライとは? ★
岸本聡子さんの新刊『地域主権という希望』刊行にあわせ、地元・西荻窪の今野書店さんで刊行記念イベントを開催いただきます。
今野書店さんは、年明けから始まった杉並区限定の先行販売でも50冊近くを
売っていただき、現在は岸本さんの選書フェアを開催いただいています。
ゲストには『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(左右社)で注目され、区長選でも岸本さんを応援したライターの和田靜香さん。そして、Z世代を代表して、気候変動問題に取り組む学生の中村涼夏さんをお招きします。
※会場参加は定員に達したため締め切りました。オンライン参加のみ受付中です。
★ いま水俣病を語る意味――ミナマタの経験が教えてくれるもの ★
12月に刊行した『水俣病と医学の責任――隠されてきたメチル水銀中毒症の真実』(高岡滋 著)の刊行記念イベントです。
★ 渡辺考×金平茂紀 「沖縄 戦火の放送局」出版記念トーク ★
同じく12月に刊行した『沖縄 戦火の放送局――軍隊に飲み込まれたラジオ』の記念イベント。
著者の渡辺考さん(NHK沖縄放送局チーフ・ディレクター)と、本書に推薦を寄せてくださった金平茂紀さん(ジャーナリスト・早稲田大学客員教授)の対談です。
3月5日(日)18時から、那覇でおこなう予定。詳細は決まり次第、Twitterなどで告知いたします。
【話題の本】
★ 『THE GIRLS』NHK「おはよう日本」で紹介 ★
1月25日のNHK「おはよう日本」で、小社刊『THE GIRLS 性虐待を告発したアメリカ女子体操選手たちの証言』(アビゲイル・ぺスタ 著)が紹介されました。訳者の一人、山田ゆかりさんへの取材がメインとなっています。
山田さんの著書『子どもとスポーツのイイ関係』と併せて、ぜひご一読ください。
★ 『彼女はなぜ、この国で――入管に奪われたいのちと尊厳』 ★
通常国会に入管法の改正案が再提出の見通しとの報道が出ました。廃案となった前回の法案の骨格を維持したままとのことです。
名古屋入管で病死したウィシュマさんはじめ、多くの人権侵害を生んでいる現在の入管行政と入管法改正案の問題点を知るには、毎日新聞入管難民問題取材班によるルポ 『彼女はなぜ、この国で――入管に奪われたいのちと尊厳』をお読みください。
【編集後記】
『地域主権という希望』先行販売のため、営業にくっついて杉並区の各書店さんを回ったのですが、どこも本当に個性的で、雰囲気の良いお店ばかり。地域の本屋さんにあらためて目を向ける取り組みになったとしたら幸いです。(Q)